昭和のカラス

 家族や仲間と住み着き、渋谷の繁華街に通勤して毎日御馳走を食べ、夕方になるとまたねぐらのある本学のキャンパスに戻ってくるカラスのお話です。

 かなり昔のことになりますが、前期の後半頃です。担当の授業が始まる前に少し時間があったので、ちょっと外の空気を吸おうと思い、教材等を持ったまま3号館4階の東側非常階段の扉を開けた途端のことでした。カラスが突然ガーガーと鳴き、校舎側から威嚇してきました。突つかれそうになり、とっさに屋上へと階段を上がって難を逃れたのは良いのですが、そのカラスが4階の階段の手すりのところからずっと見張っていて、頑として動かないのです。屋上から教室のある下の階になかなか降りることが出来ず、冷や汗をかきました。

学内にいるカラス
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 日本で良く見かけるのは、黒色のハシブトガラスとハシボソガラスだそうですが、その時のカラスは、確か、まっ黒で猫ほどの大きさがあり、太いくちばしをしていました。きっと、ハシブトガラスに違いないと思います。カラスは雑食性で頭が良く、犬よりも知能が高いとそうですが、とにかくその時のカラスは羽も艶々していて大きかったです。ちょうど、繁殖期で子どもが巣立つ時期にかかっていたのか、カラスの方も警戒心が非常に強かったのでしょう。
 
 
 でも、その時期を外せば、秋の夕暮れ時、カーカーと鳴きながら高い空を飛んで住処に戻るカラスの姿を見ると、「からすなぜなくの」という歌を思い出し、なんとなく郷愁を感じるのは私だけでしょうか。雨降りの後、天気が良くなると、キャンパスの水溜りで、嬉しそうに水浴びをしているカラスも可愛いものだそうです。

 カラスの他にも、本学のキャンパスには意外に色々な鳥やら動物が来訪します。カルガモの親子が日本庭園に姿を表したら、また紹介しましょう。本学の海外キャンパス、昭和ボストンには、招かれざる客、スカンクもお目見えします。東京でもボストンでも、珍客に出会ったら、是非、記念写真に収めておいてください。

 ちなみに、私が大学生だった1970年ごろは、黒のスーツが制服でした。自分達のことを『三茶のカラス』と称していたこともあります。制服を存続するかしないかについて、学生部会(今の学友会)で意見を戦わせたことを思い出します。その後、制服は無くなり、式典の時のみ、黒か紺のスーツを着用することになりました。

 

1960年代の授業の様子
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