2011年7月

「竹取りの翁」物語  [2011年07月25日(月)]

『東明には、大きな竹林があるという。言い伝えによると、むかし、むかし、そのむかし(30数年前に)ある先生が、お家の竹苗を数株 寄付されて、いまの竹林になったそうな。』

竹は、忍耐と堅実さを感じさせる植物だ。数本の孟宗竹の苗は、与えられた場所を必死に守り、30数年かけて大きな孟宗竹林を形成した。地味でも、着実に生き抜く竹の戦略に共感し、竹苗を寄付された先生へ深く感謝した。その竹林について、先月事務センターを経由して、環境デザイン学科から竹材調達の依頼が来た。台風6号が去って風も収まった先週末、竹材を揃える作業を行なった。

『大風と、大雨が去った朝、竹取りの翁たちは集った。翁たちは、竹取りに必要な道具を携え、段取りを確認して竹林へ向かった。やがて、竹林の前に来ると一人の翁が竹林に向かい「竹取りのお願い」を伝え、作業を始めた。』

いままでも東明学林の孟宗竹は、幼稚園のそうめん流しや、初等部の竹とんぼ作りの材料として活用されてきた。今回伐採された竹は世田谷キャンパスへ運ばれ、その後 学生達の手によってロウソクの燭台や、竹カップ、手桶、その他の展示物へ加工されると聞いている。

『翁たちは、自分たちが伐採する竹にロウソクが灯される姿を想いながら、黙々と竹林を動き回った。やがて必要とする竹は伐られ、竹取りは無事終った。帰り道、翁たちは、肩腰をさすりながら「100年後も、竹取りはあるのかな?」、「俺たちじゃないが、誰かがやるさ!」と話しながら帰ったとさ。』  東明学林 竹取の翁物語 第一章 おわり。

「竹」とはいうけれど幹の根元周りは50cmを超えるものもあり、樹木に近い硬さなので、伐採にはチェーンソーが使われる。鋭い刃が高速回転するチェーン ソーを使う作業には、焦りは禁物。怪我しないように、慎重に作業は進む。

伐採された竹の枝葉を切り落とし、運搬しやすい長さ(4m)に揃える。最終的に81本の竹材ができた。顔を被う黒い網は「防虫ネット」だ。薮蚊は、刺されるといつまでもかゆい!薮蚊対策には「防虫ネット」は欠かせない。それにしても、なぜ竹藪に「蚊」が多いのだろう?

動きに無駄がない「翁たち」。彼らの動作に見とれていたカメラマンは、防虫ネットを外していることを忘れて、薮蚊の餌食となってしまった。う~痒!

 

竹が伐採され竹林に空間が生まれ、光が差し込み葉に当たるようになったヤブニッケイ(クスノキ科 常緑高木樹)。いままで竹林の下で忍耐強く、光をまちつづけていたのだろう。暗い竹林の下で、耐えて生きているなんて、お前も知名度は低いけどすごい根性だな!

この頃、こんなことに、とても感動してしまう。

  

ハス
正門から富士見坂を登る途中の右下に「ハス池」が見える。そのハス池に、いまハスの花が沢山咲いている。ハスの花は、近くで見た事がなかったので、近づいて観察した。見れば見るほど不思議な雰囲気を持つ花だと思う。葉も、茎も面白い。

和名の「ハス」は、その果実の形状から来ていると言われている。花の中央にある果実が、蜂の巣に見えることから「ハチス」となり、その後「ハス」になったとある。なるほど蜂の巣に見えるが、「バナナマフィン」にも見える!でも…昔は「バナナ マフィン」はないし、名前も短く出来そうにないから、やはりこの花は「ハス」という名前がいいのかも…自然観察はいろいろなことを想像できて楽しい。

ハス池は、昭和58年に完成している。記録を見ると「木を伐り、根を取り除いて、労作で土運びをした」とある。結構 大変な工事だったのだろう。ところで、レンコン(ハスの地下茎)の穴は、基本的に「九つ」だって知っていました?

ハスの葉に、水滴が溜まっているだけのことだけど、それでもじっと見とれてしまう。

葉をそっと動かすと、水滴も、水滴に映る夏の空も一緒に動く。

 

 
 

ヒマワリ
夏の暑さに一番合う花は、何といってもヒマワリだ。
春に種撒きをして、苗から育てていたヒマワリがきれいに咲いた。
蜂が一匹 、ヒマワリの花に頭を突っ込んでいる。蜜を集めているのかな?
「あの~、お仕事中 失礼します!ヒマワリの蜜ってどんな味ですか?」
「ブゥウ~ン!」

今年できたヒマワリの種の半分は来年の蒔くために保管し、残り半分は冬の間に
野鳥へ与える餌にしよう。少しは、人間が食べてもいいだろう!

by生天目

参考書籍: 読む植物図鑑 川尻 秀樹 著
         植物ごよみ 湯浅 浩史 著  
                     葉で見分ける樹木 林将之 著 

不思議な植物たち [2011年07月19日(火)]

インパチェンスの種
及川さんに教えてもらい、インパチェンスをよ~く見てみると、つぼみができていました。
この中に種が入っているそうです。もうちょっと膨らんできたら、はじけて種を飛ばすのだそうです。

及川さんがとろうとすると、種がはじけて飛んで行きました。
あまりにも勢いよく飛んでいったので、びっくりしました。
そうやって、頑張って種を遠くまで飛ばして、子孫を残すのだそうです。

種を飛ばした後の様子
土の上を見ると、あちこちに緑の虫のようなものが落ちています。
最初に見たときは、てっきり幼虫だと思ってしまいました。
つぼみがはじけると、こんな形になるようです。
なんとも不思議です。

インパチェンスの種
はじけた後、すこし残っていた種を集めてみました。
ちょっと異様な光景です…。まるで幼虫が群れをなしているような…。
この種を植えたらうまく育ってくれるでしょうか。

ナスターチウム
事務室の窓辺に、外にむかってひろ~く手(?)を伸ばしている植物。
ナスターチウムです。黄色と濃いオレンジ色の2種類があるのですが、
どちらも見事に太陽の方を向いています。ですから、中から見えるのは後ろ姿ばかりです。

 

外から事務室の方を見ると、きれいに花が咲いているのを見ることができます。
ナスターチウムの蕾・花・葉などはサラダにして食べたりもできます。
鉄や硫黄、ビタミンCが含まれているそうです。

早速食べてみました。ピリッと辛くて、わさびに近い感じがします。
サラダのアクセントになかなか良い気がします。

 

さるのこしかけ
やまなみの道の奥で、さるのこしかけを発見!
すごく立派なので、思わず座りたくなってしまいます。

 

 

 

ねじり花
ねじり花が咲きました。
ピンク色の花がねじれるように咲き、とてもかわいらしいです。
写真は左巻きですが、右巻きに咲くものもあるそうです。
はじめは駐車場の端に1輪咲いていただけでしたが、
数週間後にはあちこちにニョキニョキとねじり花が見られるようになりました。
これは右巻き?左巻き?とついつい見てしまします。

by兼子

修行シリーズ その二 [2011年07月11日(月)]

 

事務室から相模湾を見ると大きな積乱雲が出ていた。夏は、箱根山を越えたようだ。

  
 

 

 

芋畑を覆う雑草。普段 気にすることなく「雑草」という言葉を使っているが、雑草という名の植物はないので、人間の役に立たない植物をまとめて「雑草」と呼んでいるのだろう。雑草図鑑(こんな図鑑もある)を開くと「人間にとって不都合な植物。欲しないところに生育する植物」とか、「作物の栽培が行われる環境で、初めてその生活と繁殖ができるような植物の一群」と定義されている。とにかく強敵だ!

修行シリーズ その二「草取り」編

気がつくと遠くでセミが鳴いている。夏が来た!来た!

高温多湿の気候なので雑草はスローモーション映像のように目の前で伸びてゆく。山の斜面や、散歩道まわりなら草刈機が使えるが、芋畑では、畝の雑草を1本、1本、手で抜かなくてはならない。

実際にやってみると草取りは厳しい作業だ。作業を始めると、すぐ「暑い!」、「腰が痛い!」、「きりがない!」という三苦が交互にやって来る。しかし、そんな草取りにも「極意」がある。作業メンバーみんなで、おしゃべりすることだ。

園芸雑誌で「草取りは無我の境地になれる楽しい時間!」と読んだことがあるが、そうは思えない。やはり雑念は入り込む。それなら作業しているメンバーが参加できる共通の話題をしゃべり合うことがいい。若い女性ならファッションとか、話題のスイーツなんていいかもしれない。今回 このメンバーで話題になったのは「年金」と「健康診断」だ。気がつくと日本社会の抱える課題(高齢化社会?)を反映した草取りになってしまった!

草取りをして気がついたことが、もう一つある。草取りは、その先に収穫の喜びがあるから耐えられる作業ではないか。いま取り組んでいることが、自分の未来にどうつながるか想像できないと、単に辛い作業になってしまう。なんでもそうなのかもしれないが、収穫の喜びを想像しながら作業をしようと思うのだが…あっ、腰が固まった!

日差しが厳しくなる前の午前中3時間 草取りに取り組んだ成果は、ほんのちょっぴりで、まだ先は長い!

草取り作業の「極意」は、作業メンバーみんなが加われるおしゃべりをすることだ。

 
 

 

木から落ちたばかりのヤマモモの果実は、ややピンクがかった赤色で、ツヤがあり、綺麗だ。

時間の経過と共に赤黒く熟してゆく。

ヤマモモ(ヤマモモ科)
正門から富士見坂を登る右手にヤマモモの木が植えられている。いま、そのヤマモモの実が熟して食べごろだ。ヤマモモの実は大粒で糖分が多い。大型の鳥がよく食べに来ている。

鳥以外にも猪や猿の好物と聞いたことがある。動物が実を食べても種子は消化されずに糞と一緒に排泄されるので、種子は確実に散布される。そのためにヤマモモは美味しい実を作っているのだろう。

農学博士 渡辺一夫先生は著書「アセビは羊を中毒死させる」で、ヤマモモの生きてゆくための戦略を、次のように説明している。『動物と付き合い上手なヤマモモだが、さらに、その根に放線菌という細菌を寄生させ、互いに助け合っている。空気中の窒素を固定できる放線菌は、ヤマモモの根に窒素を与え、一方ヤマモモは光合成で作った栄養素を与えるという「共生」関係を築いている。

通常 生物は細菌に対して防御システムを持っているので、たやすく細菌を体内に侵入させることはない。しかし、驚くことに植物と共生菌は、互いに土の中で近づき、コミュニケーションを図るための物質を出し、互いに自己紹介を行い、条件を交渉し、合意をすることが分かっている。交渉に合意すると、植物は根の細胞のなかに菌の菌糸を招き入れるという。』

ヤマモモと放線菌(共生菌)の関係を人間で例えるなら、結婚や同盟のような関係になるのだろう。見えないところで、ものすごいことが静かに起きている…そう思いながら、ヤマモモの果実を口に入れて噛んでみた…果実は、想像していたより美味しい。数粒、口に入れ噛むと、最初はほんのりと甘く、種子が果肉からわかれる瞬間にかすかに酸味が広がる。ヤマモモには申し訳ないが、種は食べずに出すことにした。

東明学林 周辺には野生の猪も、猿もいない。東名高速道路が、丹沢山系から降りてくる野生動物をブロックしているのだろう。その代わり人間が出てきて落ちた果実を食べている。

 

 

百足坂(むかでざか)
寮棟 非常口から駐車場広場へ登る階段材が朽ちたので、新しく取り替えた。今までは階段の材料に雑木を使っていた。今回コンクリート製 擬似木と、天然木のどちらを選ぶか話し合いを行い、今度は森のミズキ(落葉樹)を伐採し使うことにした。

天然木は、時間とともに朽ちてゆくが、周囲の環境と合い、落ち着いた感じを与える。一方、コンクリート製擬似木は、長持ちするが、その形状は画一的だ。どちらにも長所、短所があり、これから試しながら環境整備を進めて行こうと思う。

完成した階段を4階テラスから見下ろすと、階段の線が緩やかにカーブしながら坂を登って、綺麗な曲線が出来ている。なんだか百足(むかで)が這っているように見えるので、メンバーの間で、この坂を通称「百足坂」と呼ぶことになった。

百足坂は、第一避難場所への避難路になるが、避難路としてではなく、研修に来た人たちには散歩道として歩いて貰いたい。駐車場→(百足坂)→万葉の道→芋畑→やまなみの道→駐車場…これが朝の散歩コース(15分程度)にお勧めかな。

階段の材料として切り出したミズキの原木。

工事途中の百足坂。偶然 階段材がきれいな曲線を作り出していた。

by生天目

 

 

  

 

 

参考書籍: アセビは羊を中毒死させる 渡辺一夫 著

      絵でわかる植物の世界 清水晶子 著

      みじかな雑草の話 森昭彦 著  

       葉で見分ける樹木 林将之 著 

シイタケの本伏せ [2011年07月04日(月)]

先日、シイタケの本伏せを行いました。
4月にシイタケの菌打ちを行い、仮伏せしておいたものを、梅雨時期に本伏せします。

まずはシイタケの菌打ちです。
シイタケの菌打ち
シイタケのホダ木にするための木も、東明学林で育ったものを使います。
まずは、ドリルを使ってシイタケ菌を植えるための穴をあけます。
1本の木に約30個ほど穴をあけます。
そしてその穴に、シイタケ菌を打ち込んでいきます。

シイタケ菌…初めて聞いたときは液体のようなものを想像していましたが、
液体ではなく、先が細くなったコルク栓のようなものでした。
その中に菌がつまっているそうです。

 

シイタケの菌打ち作業は、とても賑やかです。
ドリルで穴をあけるので、歯医者さんにいるような「キュイーン」という機械音が、あちこちでしていました。
その音に、穴のあいた部分に菌を打つ「トントン」というトンカチの音が混じって、「キュイーン・トントン」と、とても面白い音が響いていました。

仮伏せ
菌打ちをしたホダ木は、「仮伏せ」をします。
シートをかぶせて、たまに水をまいてあげます。
   



まだ菌が広がっていない状態
ホダ木と同じような色をしています。

少しずつ菌が繁殖し、白い色になっていきます。

菌がまわってくると、こんなに白くなります。

 
  

 
本伏せの様子
太陽の光が当たりすぎない場所を選んで本伏せをします。

本伏せをしていると、ぽろぽろと菌が打ちこまれていない穴が…。
打ち忘れがないか何度も確認していたつもりだったのですが…すみません。

 

  

ホダ木にニョキニョキとシイタケがたくさんできている様子は、とても面白いです。もぎ取ってもまた数日すると、ニョキっと新しいシイタケができています。すごい生命力だなあと感心してしまいます。 

できたシイタケは、収穫して乾燥機で乾燥させます。乾燥させて、裏表を返してまた乾燥させて、の作業を繰り返し行ないます。
乾燥作業をしているときはシイタケの香ばしい香りが漂います。

今回本伏せしたシイタケたちを収穫する日が楽しみです。 
きっと、ものすごい数のシイタケができることでしょう…。

by兼子