開催日:2020年1月22日(水)16:30~17:30
場所 :グリーンホール
テーマ:「外国人留学生の学習に関する理解を深めるために」
講師 :
・山崎 真伸氏 国際交流センター(CIE)次長
・西川 寿美氏 日本語日本文学科教授、文学研究科言語教育・コミュニケーション専攻主任、チーフ留学生コーディネーター
・大場美和子氏 日本語日本文学科准教授
・植松 容子氏 日本語日本文学科専任講師
司会: 笛木 美佳氏 日本語日本文学科准教授
参加者数:172名
本講演会は、グローバル化に向けた取り組みとして、外国人留学生の学習に関する理解を深め、現状を知ることを目的として開催した。概要は次の通りである。
Ⅰ.留学に関する国際的な潮流(CIE:山崎氏)
日本政府の方針「留学生30万人計画」は2017年に達成している。世界的にも留学生は増加している。留学生の留学形態としては、2つの形式がある。A:伝統的な留学:海外の大学・大学院での学位取得が目的、通常2-5年の長期留学(Degree Seeking(正規留学生))、B:海外の大学・大学院での単位修得が目的、通常1年未満の短期留学(Non Degree Seeking(非正規留学生))である。世界と日本に共通してB形式の留学が多くなってきている。正規留学生は高度外国人材として期待されている一方、就労を目的とする留学生には大学として注意が必要である。
II.本学における留学生の現状(西川氏)
本年度の留学生の現状について、日本語能力試験(JLPT)分布や留学形態(正規、短期)、過去5年間の留学者の推移、本学の留学生に対するサポート体制についての紹介があった。本学でも留学生が増加している。特に短期留学生が増えている背景には、本学から交換留学する学生が増加していることによる。留学生の科目等履修の留学生が増えているので履修科目調査への協力をお願いしたい。本学では留学生のための学習支援として日本語チューター、会話/言語交換パートナーなど、様々なサポート体制が用意している。
III.日本語能力試験と専門日本語の違いについて(大場氏)
JLPTは原則として日本語を母語としない人を対象に、日本語能力を測定し、認定することが目的であり、大学や大学院の学習を保証するものではない。大規模試験のためマークシート形式で行われる。大学ではN1のための勉強をするより専門分野の語彙を覚える方が大切であると考えられる。専門分野毎に用語解説が開設されたサイト(日本語読解学習支援システム)があるので活用を推奨する。受け入れ側としてはどのような留学生を受け入れ、育成していくのかという学科の方針をふまえ、教育の在り方を検討する必要がある。その際、専門的な学習をサポートする専門知識のある教員が入ることが望ましい。
IV.留学生の授業履修における実際(植松氏)
N1~3の日本語レベル、留学生の授業での様子について具体的に紹介された。例としてリアクションペーパーは一部の留学生にとっては短時間で提出を促すのは困難な場合もあるため時間をおいて提出させるのが効果的である。また、留学生からは授業中の専門用語が難しいとの声もある。まずもって留学生自身の自助努力が求められるが、ピアサポートをはじめ、独習のためのWebサイトや公開されている授業動画の活用などのサポートも必要となる。特に専門分野の学習支援では留学生に情報を提供し、活用を促した方が良い。
以上の講演後、質疑応答の時間が設けられ、盛況にて終了した。
以上