2022年度FDサロン報告(2022年10月5日実施)

■第1グループ
タイトル:「昭和女子大学におけるデータサイエンス教育の現状と今後」
発題者:全学共通教育センター 藤島義嗣
司会・記録:健康デザイン学科 黒谷佳代
参加者:20名

新高等学校学習指導要領に沿った教育が進められるなかで、データサイエンス教育については、教員の人材不足などの課題により、学校によるデータサイエンス教育格差が広がる可能性が考えられる。本学では、2021年度より、データサイエンス副専攻プログラムにおけるデータサイエンス・コア科目が開講され、数理・データサイエンス・AI教育認証制度の認定を受けた。しかしながら、本学においても、データサイエンス教育を担当できる教員の人材不足の課題がある。そのため、学生のみならず、教員においても、一般社団法人情報処理学会提供の無料コンテンツなどの教材を有効に活用し、学び直しが今一度必要であるとの議論があった。さらに、PC教室の使用につき、十分に使用の機会が確保できていない問題が提起されたが、今後のデータサイエンス教育において、学生の保有するPCにて、無償のPythonなどのプログラミングツールを用いたデータ収集・整理・解析なども視野に入れた本学での検討が必要であるとの議論があった。

■第2グループ 
タイトル:「主体的・対話的で深い学びができて、総合的に探究もできる高校生の入学に備えて」
発題者:現代教養学科 シム チュン・キャット
司会・記録:環境デザイン学科 鳥海希世子
参加者:5名

 参加者の自己紹介の後、シム先生によるご発表、そして全体でのディスカッションを実施した。シム先生からは、「探究」をめぐる高等学校の現状と課題、それを受けて現代教養学科における具体的な取り組みについてお話頂いた。特に国際学力調査PISAの結果から、読解力のなかでも「情報を探し出す」「評価し、熟考する」の得点が低いこと、また、教師が生徒にやる気や自信を持たせたり、情熱を伝えることが他国に比べて出来ていないという課題が指摘された。
ディスカッションは幅広い内容で活発におこなわれた。そもそも主体的・対話的であることにもレイヤーがあり、必要とされる探究力は全ての学生にとって一様ではないという議論や、「これでいいですか?」と確認する受け身の学生にあわせ、まずは非対話的であっても教えることも必要という意見、就職活動を経ることで成長を感じる場面など、本学の学生についての現状や課題について学科横断的なディスカッションが展開された。高大接続における「探究」を考えるにあたり、国際比較的な観点から、また多分野の授業運営や学生の姿勢から議論する貴重な機会となった。

■第3グループ
タイトル:「論理的思考を反映する国語力は持っているか?―初年次教育の実践から―」
発題者:日本語日本文学科 宮嵜由美
司会・記録:日本語日本文学科 笛木美佳
参加者19名

まず、今回話題にする「国語力」を社会に出たときにも活かせる国語力(情報リテラシー、いかに組み立て、どのように伝えるか)と定義され、PISAにみられる日本の生徒の「読解力」の問題点として、PCを使用し、長文を読んで解答すること、自由記述が苦手であることを挙げられた。これを「日本語基礎」の記述式の課題解答に照らして分析していくと、①序論が書けない、書き始めがわからない ②一文一義の文章をいかに組み立てていくか、その接続表現を知らない ③情報リテラシー(SNS以外の情報を取捨選択する経験や能力)の不足などが主な問題として浮上してくるので、それらを授業の中では共有して、補っていく旨話された。その後、宮嵜氏の発題をヒントに、小グループに分かれて参加者同士話し合いをし、再び、全体でそれを共有した。「論理的な構成を知っていても、インプットが不足しているので、アウトプットに結びつかない」「国語の授業の中での論理的な表現の実践が、海外に比べて不足している」「書きはじめ、つまり問題提起のところに力を入れて教える必要がある」「国語の論理的思考とは何か」等の意見質問が出た。最後に宮嵜氏がインプットの段階から取り組む重要性を再度確認され、閉会した。いくつかの場面で、新学習指導要領に期待できる点、危惧する点に触れた。