2023年度FDサロン報告(2023年10月4日実施)

■第1グループ
タイトル:「生成系AIはアクティブラーニングのメンターになりえるのか?」
発題者:現代教養学科 天笠 邦一
司会:環境デザイン学科 鳥海 希世子
記録:福祉共創マネジメント専攻 飛田 史和
参加者:27名

前半では、天笠講師より生成系AIのしくみ(①極めて大量のデータセットを主としてWEB上より収集し、多層のニューラルネットワークによって関係性を推計して単語間のネットワークを構築する。②ユーザーが言語でリクエストを入力すると、それに対して最も関係性が深い結びつきの単語列を言語化して出力する)及び、生成AI使用に関する問題点(①あくまでも関係性の高い結びつきが出力される(正解を算出するわけではない))、②収集するWEB上のデータにバイアスがある、③人が持つ五感(感情、匂いなど)を反映できない。の2点についてGPT4(有料版)のデモを用いながら、専門外の大学教員にも良く理解できるようにかみ砕いて説明があった。
後半では、アクティブラーニングの3つのステージ(レベル1知識の共有と反芻、レベル2 葛藤と知識創出、レベル3問題の設定と解決)に対応して、どのように(自分の授業において)生成AIを活用したらよいか、天笠講師より具体的な問題提起があった。その問題提起に応えて、参加教員グループ(3グループ×教員9名)内でグループ内討論を行った。さらに教員間でのディスカッション等で生起された問題意識に沿って、参加教員から講師に対しての質疑応答が行われた。

■第2グループ
タイトル:「高校から見た高大接続-新学習指導要領で変わる高校の授業と高大接続の在り方」
発表者:山脇学園高等学校 教諭 高桑浩一
司会:管理栄養学科 調所勝弘
記録:初等教育学科 白數哲久
参加者:13人

はじめに山脇学園「総合探究」プランについて紹介があった。個人探究の課題として、個別指導における教員の負担の大きさ、専門領域に対する指導の難しさ、評価の難しさなどが話題となった。また、「ロイロノート」を活用したアクティブ・ラーニングへの授業の転換や、評価の見直しの課題として、授業進度の遅れや、生徒による取り組みの差などが話題となった。後半は、昭和ボストン高校生プログラムと、高大連携校の高校生を対象とした学習プログラム及び、それと連動した特別選抜の実施など、山脇学園と昭和女子大学の高大接続の取り組みについての話を伺った。高大連携をめぐる今後の課題として、高校・大学の負担、学校間・生徒間の教育機会の格差、教育効果の検証、期待する学生募集と結びつくかどうかなどが話題となった。
ディスカッションでは、高校で探究に力を入れたことによって、大学選びでも自分のやりたい研究がどの大学でできるかという視点で選ぶ生徒が増え、結果として、地方の国立大を選ぶ学生が増えてきていることや、ペアワークが得意な生徒が増えている反面、講義型授業を苦手とする生徒が増えているという話題があった。高校生は、自分にとって興味・関心の高いことを中心に学んできている傾向が強いので、専門的な知見を持った異分野の他者からの講義を受けてより深い学びを実現することに課題があるという指摘は、今後大学においても留意すべき点だと思われる。

■第3グループ
タイトル:「ピアラーニングタテのつながりを活かした初年次教育―TA活用の取り組み―」
発題者:ビジネスデザイン学科 三浦紗綾子 
司会:長屋真季子
記録:英語コミュニケーション学科 鈴木博雄
参加者:4名

発題者は、ビジネスデザイン学科1年次の科目「グローバルビジネス基礎演習Ⅰ 」において実践してきているアクティブラーニングの成果を報告した。具体的には、教材として、リアセック社の「タクナル」プログラムを使用し、学科の3年生(約12~16名)に、12回程度、TAの役割を担わせた。4年生のTA経験者(3~4名)をシニアTAとして、授業にオブザーブ参加させ、授業後に、3年生TAにフィードバックを与えた。個人及びチームによる課題発見と解決の手法を学びつつ、クラスメイトやグループメンバーの意見を傾聴し、自分の意見も述べながら、一つの見解にまとめられるようにすることを目標とする本授業では、グループワークを通じて、計画性、協調性、統率力、行動持続性、責任感、創造的思考力の養成に有意につながることが観察された。報告後、活発な質疑が行われた。特に、リアセック社の教材「タクナル」は他学科でも使用し得る汎用性を持つ内容であることが発題者より回答され、同教材の編集主旨は今後、他学科でも参考にすることができるものと思われる。