祇園祭宵々々山散策

〈日文便り〉

7月14日、梅雨の中祇園祭前祭の宵々々山を見学した。
京の都の疫病退散を願い、869年に行われた祇園御霊会が祇園祭の起源とされる。
今年はその始まりから1150年。
夏の訪れを告げる「コンコンチキチン」の祇園囃子が響きわたり、
通りには刺繍で文様を施した豪華な前懸や水引で彩られた幾つもの山鉾が立ち並ぶ。
どの山鉾もご神体や形が異なり、豪華絢爛さを競う。
25メートルにも及ぶ長刀鉾の高さや函谷鉾の稚児人形、月鉾の見事な装飾に目を奪われた。

それぞれの山鉾では、粽やお守りが授与される。
「御信心の御方様は受けてお帰りなされましょ。」
と声をそろえて歌う浴衣姿の女の子たちが愛らしい。
山鉾ごとの個性を生かしたご神体や山、神紋などをかたどった御朱印も魅力である。
闇に揺れる提灯の灯りが幻想的であった。

夜の街角には、祇園祭を守り、受け継いできた京の人々の情熱があふれていた。
一年間の平安を祈り、函谷鉾に登り粽を購入した。

いつか山鉾巡行を見てみたいと思いながら、宵々々山を後にした。

(KR)