こんにちは! 歴文1年の根本です。
11月13日に大谷津先生、大学院の先輩、日本芸能史ゼミの三年生の先輩方、一年生有志で
国立劇場の文楽鑑賞教室に行きました。演目は近松門左衛門の『曽根崎心中』です。
内容はとても面白く、ちょうど前日まであった学寮の疲れを癒すかのような楽しい観劇となりました(^^)
鑑賞教室なのでまず最初に、義太夫節や人形の操り方になどについて説明してもらいます。
人形のお芝居なので、「動くとどうなるのかな。市松人形みたいにやっぱこわいのかな…」と内心びびっていましたが、そんなことはなく、巧みな人形さばきで人形がすごくイキイキと動くので、むしろ人間にしか見えませんでした!
説明が終わると、演目に入ります。曽根崎心中のあらすじは「若い二人が曽根崎で心中する」という本当に
シンプルなものです。それに至るまでの二人の心理や、二人をとりまく周りの人間たちの人間模様が見どころなのですが、、、
私は人間ではなくむしろ感情を持たない人形が演じることで、かえって人間臭さを上手く表現しているように思いました。
人間が演じると、役にどうしても解釈を加えて演じますが、人形はそれができません。それがないぶん、
人間の汚い部分や人間の本質が人間が演じるより克明に表現されています。
若い二人がじわじわと居場所をなくされ、どんどん追い詰められていく様がとってもリアルです、、、
人間より人間らしさを演じる人形、、、少し不思議だけれど、面白いなと思いました。
文楽は脚本に忠実に話が進むので、近松門左衛門がこの物語を通して、なにが言いたかったのかも明確にわかります。
若い二人が心中してしまう根本的な理由は身分が違い、愛を添い遂げられなかったからです。
彼氏が町人、彼女が遊女という身分差のせいで心中することでしか結ばれることができず、近松はこれを肯定的に描いています。
そうなのです、曽根崎心中はただ単に二人の悲恋を描いているだけではなく、軽く江戸時代当時の封建制度も批判しているのです、、、! 恋愛からの視点で世間に斬りこむ社会派ドラマだったんですね、、、当時としてはなかなかの問題作です。
あらすじ自体はとてもシンプルなのに投げかけるテーマはとても大きい、、、ドラマだったら容易く高視聴率がとれそうです。
曽根崎心中のロングヒットの理由は、近松による脚本の完璧な構成力にあるのだなと強く思いました。
三谷幸喜や宮藤官九郎などの現代の脚本家の書くドラマもいいけれど、近松門左衛門にはかなわないです! やっぱり、、、
他にも生活観、宗教観、そして死生観の現代との違いに驚いたり、登場人物の突発的な行動に
翻弄されたり(文楽や歌舞伎に登場する人間は大抵が全力で人生を生きています、、、その熱さから
いきなりの不可解な行動をとりがちなのです、、、)なにかと勉強になる観劇でした。
これをきっかけに、これからも文楽を観続けていこうと思いました♥!