韓国南部の仏教寺院

 今回は、学会の後立ち寄った韓国のお寺を紹介します。最初のお寺は、釜山から西に2時間ほど行った全羅南道順天市の郊外にある松廣寺です。松廣寺は韓国仏教の最大勢力である曹渓宗が発祥した大変由緒あるお寺です。

 曹渓宗は1200年頃、知訥(ちとつ)という僧侶によって創始されましたが、もともとこの寺院は新羅時代末期に慧麟(えりん)が華厳宗の吉祥寺として創建しました。その後、知訥がその活動の拠点をここへ移し吉祥寺を修善寺と改名し、さらにまた松廣寺と改名して現在に至っています。

 仏教において最も重要な三つの宝を三宝と言います。それは仏・法・僧を指し、この松廣寺はその中で僧宝をもつ寺刹です。僧宝とは釈迦の弟子達を指し、この寺から多くの高僧を輩出したので僧宝寺刹と言われています。境内には,多くの高僧の祈念碑が建てられています。

松廣寺 鐘鼓楼
松廣寺 高僧の祈念碑

 次に紹介するお寺は,同じく釜山近郊にある智異山の山中にある華厳寺です。同じくこのお寺も曹渓宗で、544年にインド僧の縁起によって創建されたもので、670年に韓国の華厳宗の開祖義湘が増築しました。その後、お寺は華厳宗から禅宗へ更に曹渓宗へと引き継がれてきました。覚皇殿は国宝に指定されており、韓国では現存する木造建築として最大の規模だと言われています。智異山華厳寺は全山紅葉に包まれて、山から流れ落ちる水音が深閑とした山中に響き渡っていました。

華厳寺 覚皇殿
華厳寺 国宝四獅子三層石塔

(歴史文化学科 早田記)