こんにちは、松田忍です。 今年日本近現代史ゼミ(松田ゼミ)で卒論を書いたのは14名でしたが、無事全員提出することができました。
これで松田ゼミで卒論を書いた学生も52名になりました。1,2年生のみなさんや受験生のみなさんからすると、52本もの卒論があったら同じような内容の論文も結構あるんだろうなぁ・・・って思うかも知れません。しかし!これがまた全くかぶってないんです。とてもよく出来た卒論も、必ずしもそうじゃない(?)卒論もあるんだけど、一人一人がそれぞれの史料と真剣に向き合い、問いに立て、答えを追い求めて書いた卒論は、やはりその人にしか書けない、その人だけの卒論なんだよね。
今年のゼミ生たちはどんなテーマの論文を書いたのでしょう。時代ごとにご紹介します。
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幕末
今年は幕末期の卒論を書いた学生はいませんでした。これはちょっと珍しいんだけどね。
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明治
・「米欧回覧後における大久保政権の殖産興業政策について ―千住製絨所を事例として―」
・ 「松隈内閣における大隈重信の外交方針について」
・「日清・日露をみつめた二人の従軍僧 ―太田覚眠と佐藤巌英―」
・「創立期の済々黌における教育理念と実践 ―水戸学から国家主義教育へ―」
・「内地雑居と外国語教育について」
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大正
・「倉富勇三郎と日韓併合 ―李王家対応を巡るいくつかの論点―」
・「日韓併合後から一九二〇年代における朝鮮米流通経路について」
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昭和(戦前期)
・「一九三〇年代における児童文化概念の登場と企業行動の変容 ―児童雑誌検閲と出版社を対象に―」
・「満州開拓青年義勇隊の送出と定着について ―内地の宣伝と現地の訓練生活の違いから見る―」
・「昭和恐慌期における長野県養蚕業について ―胡桃澤盛日記を中心に―」
・「一九三〇年代の新興生活運動分析 ―日中戦争下における生活運動の変質―」
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昭和(戦時期)
・「海外新聞から読み解く日本 ―空襲と原爆―」
・「清沢洌の自由主義思想 ―暗黒日記を中心に―」
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昭和(戦後)
・「新聞から見る二・二六事件と世相の変化 ―「歴史化」のプロセスを考える―」
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日露戦争への従軍僧とか、倉富勇三郎なんていう教科書には載っていない人物とか、内地雑居とか・・・なんでそんな色々なテーマを見つけられるの?と、まだ卒論のテーマが決まっていない学生のみなさんは焦ってしまうかも分かりません。でもテーマ探しはある意味簡単です。史料を読めば良いのです。歴史史料は「なぜ?なに?」の疑問の宝庫です。その疑問を解き明かしていったら、私たちは自然と過去へと誘われます。「でも最初にどんな史料読んだら良いか分からないし・・・」なんて方も是非松田ゼミにいらしてくださいな。最初の史料選びはしっかりつきあってあげるよ。あなたが漠然と持っている問題関心は、どんな史料を読めば満たされるのかを一緒に考えていきましょう。
52本の卒論があれば、52個の問いがあり、52通りのテーマがあります。でも、そうした小さな問いは、近代ってどんな時代なんだろう、現代ってどんな時代なんだろうという大きな問いとつながっているわけで、一人では到底解けない問題を協力して解いている、そんなワクワク感をもちながら、私は毎週、ゼミの教室でみなさんと議論してきました。
そうしてお互いに質問しあい鍛えあった時間は大事な時間だったんだよ、ということを最後にもう一度ゼミ生に伝えたいと思い、松田ゼミでは毎年ゼミ生全員の卒論を一冊の本にまとめた卒業論文集をつくり、手渡しております。 昨日はその製本会を開きました。結構な作業量でしたが手分けして、テキパキと製本していきました。
みなさん、晴れ晴れとした顔をしているよね。この2年間で大きく力をつけて成長しました。このメンバーなら安心して社会へと送り出せます。
卒業してからの長き人生にも、幸あれ!幸あれ!
あっ、その前に4年後期の単位おとすなよ笑