遺跡を視る

歴史文化学科の山本暉久です。私は毎年夏の山梨での発掘を終えたあと、ゼミ生たちを連れて、ゼミ旅行に出かけています。昨年夏のゼミ旅行は、すでに院生の石下さんがこのプログで報告していますので、くわしいことはそれにゆずりますが、北海道東部を3泊4日で駆け回りました。このゼミ旅行は、各地の史跡や博物館、観光地を巡りながら、直に歴史に触れることを目的としています。今回は、その一つを紹介しましょう。場所は国指定史跡である釧路市北斗遺跡です。この遺跡は旧石器時代から縄文・続縄文時代を経て擦文時代に至る重複遺跡です。なかでも、続縄文から擦文時代(本州でいうと、弥生時代から奈良・平安・鎌倉時代)の当時の大規模なムラが発見されています。これは北海道東部地方の遺跡に特徴的なことなのですが、当時の竪穴住居の跡がまだ埋まりきらずに窪地として残っていることです。実際にその姿に接してみると、はるか昔の人たちがここで生活をしていたんだなあと、実感することができます。遺跡の発掘は調査してみないとなにが発見されるかわからないことが多いのですが、こうした竪穴住居跡の窪地がそのまま残っていると、確かにここに遺跡が埋まっていることがよくわかるのです。考古学という学問は、実際に遺跡を発掘調査して研究していくのですが、このような形で遺跡の存在を知ることもできるのが不思議な感じです。遺跡や遺物に直に触れてみることの大切さが実感できた旅行となりました。皆さんも一緒に見学の旅に出ませんか。

釧路市北杜市北斗遺跡の埋まりきらない竪穴住居跡と復元住居