新宿区立歴史博物館での発表

日本近世史の野口です。
近世史ゼミでは、毎年、3年生が新宿区立歴史博物館でプレゼン発表を行っています。
これは、グループに分かれて、自分達でテーマを決め、古文書や刊行されている史料を解読し、参考文献などを読んで分析を行い、疑問点を明らかにしながら発表を行うものです。
テーマは何でもいいのですが、博物館のある新宿区に関連する歴史にこだわっています。同区内の市谷や四谷などは江戸の範囲内でもあり、日本史の教科書に載っているような事柄が地域の歴史としてあり、発表の準備をする上でも取り組みやすいということがあります。

今年は、
①「浄瑠璃坂の仇討ちからみる武家社会」
②「月桂寺を菩提寺とした柳沢吉保とその家族」
二本の発表がありました。
①は1672年、江戸の三代仇討ちの一つといわれる中津藩奥平家の家臣達が起こした浄瑠璃坂の仇討ちについて、特に奥平家の親類大名であった大老井伊直澄 がどのように処罰へ関与したのか、また同事件を参考にしたといわれる赤穂事件との比較などを通して、同事件の特徴を考察しました。
②は五代将軍徳川綱吉の側近として有名な柳沢吉保の家の菩提寺が新宿区河田町にあることから、吉保の妻や子ども達との関係を、彼の側室が書いた日記から読みといていったものです。

どちらも、きちんと史料に基づきながら、自分達で「なぜ」という歴史に対する疑問を持ちながら明らかにしていった発表で、大変興味深い内容でした。①の発表では、今年の大河ドラマが井伊家ということもあり、こうしたことにも触れていました。この発表を通して行ってきた準備や史料の解読などは卒業論文でも十分いかされると思います。発表した皆さん、お疲れ様でした!