教育実習の訪問指導をしてきました [2018年06月13日(水)]

西洋史の山本です。こんにちは。

「教育実習」の季節ですね。私も先日、卒論を担当している二人の学生の授業を見てきました。

Aさんは自由な雰囲気の某県の共学進学校の出身で、母校で世界史の授業をやっていました。テーマは「十字軍」です。交渉により10年間ながらも、キリスト教の聖地エルサレムをイスラーム勢力から平和裡に取り戻した神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世(いわゆる第4回十字軍)を取り上げ、宗教的対立を解消するには何が必要か学生に考えさせることを主眼とした授業でした。

Aさん「『9.11』(2001年のアメリカ同時多発テロ)って聞いたことあるかな? あと最近、アメリカの(イスラエル)大使館がエルサレムに移動されることが問題となったよね。」

成績優秀で日頃の受け答えもしっかりしているAさん。高校生相手に堂々と授業をこなしています。

フリードリヒ2世が西洋、ビザンツ、アラブの文化が混在していた「シチリア王国」の出身であることを踏まえ…

Aさん「じゃあ彼の立場で、スルタンに手紙を書いてみよう!」

先生の板書を必死に写していた私の学生時代とはだいぶ異なる、アクティヴラーニングを意識した授業で、まさに隔世の感(?)でした。

[アラビア語、ギリシア語、ラテン語、ヘブライ語の4言語で書かれた石碑(パレルモ、ジーザ宮)。ノルマン・シチリア王国の文化的混在を示している。]

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同じく成績優秀なBさんは、某県の名門女子校での教育実習でした。こちらも世界史でテーマは「宗教戦争と絶対王政の成立」。なかなか難しいテーマです。Aさんとは異なり、オーソドックスといいますか、重要な歴史的事項を踏まえつつも、グループで話し合わせて考えさせる、という構成になっていました。

まずびっくりしたのは、輝くばかりのBさんの笑顔! 先生がこんなにニコニコしていたら、学生が引き込まれないはずがありません。笑顔って重要だなぁ~、と日頃ムスっとした顔で授業をしている(疲労のため?)自分を反省しました(笑)。

もちろん、Bさんの良さはそれだけではありません。

Bさん「教科書には『フランス人は〈一つの国民〉としてのまとまりを求める方向に一歩踏み出した』とあるけど、この〈国民〉って何なんだろう?」

と、なかなか難しい質問を学生に投げかけ、「国民」という私たちにとって当たり前の観念が、実は歴史的に形成されたものであることを考えさせていました。「暗記科目」になりがちな世界史の授業も、こうした「問いかけ」をすることで、現代の諸問題を解決するための有効な道具に変わるのです。

[サン・バルテルミの虐殺(1572年)を描いた著名な絵画。スイスに亡命したユグノーの画家フランソワ・デュボワが描いたもの。この絵ではユグノー中心的人物であるガスパール・ド・コリニーが印象的に描かれている。彼は中央右上の建物の2階から放り落され、首を刎(は)ねられた後に去勢され、右奥にある「モンフォーコンの絞首台」(右上奥の丘の上の建物)へと連れられていった。]

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いずれの学生も本当に立派に授業をやっており、とても感動しました(もちろん、西洋史が専門の私からすると言いたいことがないわけではありませんが…)。手前みそですが、「KJ法」によるディスカッションやヨーロッパ歴史演習など、歴文の特色ある授業が役立っていたようにも感じられました。

無論それだけでなく、実習先の先生方のご指導があってのことだと思います。お忙しいなか本学の学生を教育実習生として受け入れていただき、また懇切丁寧にご指導いただいたことに、心より感謝したいと思います。

歴史文化学科では中学校の「社会」、高等学校の「地理歴史」の教職免許を取得することが可能です。もちろん、公立の中高の教師になるためには、その上で教員採用試験を受けなければなりません。上記の科目は倍率が高く、正直に言いますと「狭き門」です。しかし、歴文では毎年一定数の学生が難関をくぐり抜け、教員として巣立っています。教員を目指す学生を、全力で応援したいと思います。