前期特殊研究講座が開催されました

7月10日(水)に、前期特殊研究講座が開催されました。

今回は、国立歴史民俗博物館名誉教授・國學院大學客員教授である新谷尚紀先生にお越しいただき、
「歴史学と民俗学―民俗伝承学の方法から見える歴史世界とは―」という演題でご講演いただきました。

 

 

ここでは、民俗・芸能ゼミ(4年生)の学生によるコメントの一部を紹介したいと思います。

 

民俗学は変遷と歴史の中にあるもので、歴史というのは常に動画であるので、静止画を止めてとらえるのではなく、流れや変遷を通史としてとらえる必要があるのだととても勉強になりました。
民俗学は民俗学のみを学ぶのではなく、歴史学や考古学など他の分野のことについても学ぶ必要があるということがとても印象的であったし、民俗学専攻として心に刻みたいと思います。(Mさん)

 

まずはじめの、「伝承(tradition)と変遷(transition)」に関するお話が印象的でした。レジュメが配られた時、考古と民俗、歴史学と民俗の関係にピンときませんでした。
しかし、文献史料を対象としない学問同士、traditionがアイデンティティであるもの同士であると聞いて、なるほどそういう考えかたができるのかと驚きました。
この考えをもとに今回の講義をきいていると、今まで、民俗をやるにあたって歴史や考古の知識はそれほど重要ではないと思っていたことを反省しました。今、私は民俗学ゼミに所属して卒業論文を執筆していますが、民俗学的視点以外の視点を持つことで考察がひらけてくるかもと思いました。(Yさん)

 

「民俗学」は年中行事などを学ぶFolkloreの意味ではなく、「民間伝承」(tradition populaire)の意味を持つ学問であるということを聞いて、民俗学を専攻している私は、これまでの考えを改めなければならないと思いました。
どんなに便利なものがあっても、tradition(伝承)を大切にしていくことが存在証明になるという言葉はとても興味深いと思いました。伊勢神宮の祭祀について、最近勉強する機会があったのですが、記紀の記述だけではなく、考古学的な面からも分析してみていったのは初めてでした。
民俗学は通史で、古代から現代までの歴史を、文献記録と考古学で探るという方法で学ぶということを知ることが出来たので、今後の自分の研究に対する視点がより広げられそうであると感じました。
伊勢神宮の創祀についての説が多くあり、新たな可能性があることも知ることが出来て非常に勉強になる講座でした。(Wさん)

 

 

新谷先生、貴重なお話をありがとうございました。