西洋史系授業で映画鑑賞会をおこないました [2019年11月28日(木)]

西洋史の山本です。こんにちは。

「芸術・文化の秋」と言いますが、私のゼミ生の発案で、さる11月6日に映画上映会をおこないました。歴史文化学科のみならず、他学科の学生も含め、約60名が参加してくれました。

上映された映画は「顔のないヒトラーたち」(ドイツ2014年、日本公開2015年。原題は「嘘の迷宮のなかで」)という作品です。この作品は、第二次世界大戦後にナチスによるホロコーストをドイツ人自身が初めて裁いた「フランクフルト・アウシュヴィッツ裁判」(1963-65年)を題材としたものです。検事総長のフリッツ・バウアーや国際アウシュヴィッツ委員会の事務局長ヘルマン・ラングバインら実在の人物とともに、戦争を知らず正義感旺盛な若手検事のヨハン・ラドマン(架空の人物)が、様々な葛藤を抱きつつ裁判に向かっていく姿が描かれています。

映画「顔のないヒトラーたち」

上映に先立って、西洋史ゼミでナチス・ドイツを学んでいる大圖愛さんによるレクチャーがありました。戦後直後の西ドイツでは、ヒトラーの人気は決して低くはなく「偉大な政治家」と評価されていた点、またナチスの犯罪を告発する際の難しさなどについて説明がありました。その後、映画の上映となります。最近の若者は短時間の動画に慣れてしまい、2時間を超える映画の視聴は厳しいかなと思っておりましたが、ほとんどの学生は集中して映画を鑑賞しているようでした。

映画終了後は、Googleフォームを利用して、感想を記入してもらいました。映画を観て感じた様々な想いが、熱く語られていました。その一部をご紹介いたします。

映画を観る前に、ナチスについての説明をして下さったのでストーリーに入り込み易かったです。また、私は洋画を見ることがあまり無く、このようなイベントがあると普段観ないような映画に巡り会えるため、今回の上映会はとても良いものであったと思います。(歴文3年)

「ナチス」であることが罪なのか、「ナチス」であってもそれだけが罪ではなく、個人が罪になるのか、とても難しい問題だと思った。(歴文3年)

殺人以外の罪は全て時効を迎えている中で、収容所で一人一人の兵士が本当に人を殺したか、殺人幇助をしたのかは、明確な記録と証言がなければ出来ず、映画にはありませんが、その被害者が見ていないこと、他の被害者から伝え聞いたことには証言としての有効性もないと思いますし、だからこそ無罪の兵士が居た可能性があるので、難しい裁判だと思います。(歴文3年)

特定の誰かが「悪」なのではなく、全員が加害者だったときの気づきをラドマンを通して感じました。この「気づき」は私が「戦後史プロジェクト」で被爆者に関する史料を読んだ時にも感じました。同胞達を助けられなかった罪を抱えて生きてきた被爆者の心の声を史料で読み、戦争は人間に非人道的な行為を強制させるのだと思いました。…私達歴史家は過去に起きた「事実」を軸を持って整理しながらできる限り正確にに残す義務があると思いました。(歴文2年)

先輩の作ってくださったレジュメが見やすく、映画を見る上で参考になった。気になっていた映画だったので、先輩の話を聞けるこの機会に観れてよかった。(歴文1年)

このような映画観賞会をまた開催してほしい。私たちの知らない、歴史上のことを描いた映画がまだ沢山あると思うので、ぜひまたやってほしい。今回の映画はとても考えさせられる良い映画だった。(他学科1年)

上映会を企画し、事前説明をやってくれました大圖さん、お疲れ様でした(卒論も頑張ってください)。昭和女子大学歴史文化学科では、こうした「学生主体」の魅力的な企画が数多くおこなわれています。大学で歴史・文化を真剣に学び、その成果をクローバル化する社会に役立てたいと考えている受験生の方は、ぜひ「歴文」の門を叩いていただきたいと思います。