西洋美術史を担当してきました木下亮です。私は、昭和女子大学を2022年3月31日をもって定年退職しますので、この歴文ブログをお借りして皆さんにご挨拶いたします。
本年度は、歴史文化学科創設30周年を祝して、在学生有志の皆さんが中心となり記念誌を編集し、学内で学科の歩みをパネル展示してくださいました。その記念の年に、無事に定年を迎えることができたのは幸せだと思っています。
私は、今から35年前に当時の外国語科に着任し、昭和初のスペイン語教育に携わり、また美学科(環境デザイン学科の前身)の西洋美術史の授業を担当しました。続いて日本文化史学科(歴文の前身)が創設されるときに所属移動し、それから30年の間、西洋美術史関連の授業を受け持ち、通算で170人以上の西洋美術史のゼミ生と卒論の研究テーマに合わせて美術作品や芸術家について一緒に勉強しました。人間のなしうる表現について、あるいは様々な美の概念について、それぞれの歴史や社会の環境のなかで考察する日々を過ごしてきたことになります。
学科の授業やプロジェクトのなかでは、「伝統文化の現場」「ボストン・サマーセッション」「サンチャート」「ヨーロッパ歴史演習」「コミュニティーアート」などの立ち上げが思い出深いものです。もちろん授業を担当するほか、自分の専門分野であるスペイン美術史の研究を続け、いくつかの大きな展覧会の開催にも関わることできました。
折に触れて、卒業生の皆さんから歴文で学んだことが人生を楽しく豊かにしているという話を聞きました。その言葉が私たち歴文教員の励みでした。新型コロナ感染拡大や不穏な世界情勢のため、時機を得た最終講義やゼミ卒業生の皆さんとの集まりを企画することが叶わず残念に思います。このブログでの皆さんへの挨拶が、少しでもその代わりになればと願っています。4月からは、非常勤となってのんびりと授業をしに来ます。
先輩の諸先生と同僚の先生方、歴代の助手の皆さん、そしてこれまでの30期のわたる卒業生の皆さんに心から感謝いたします。長い間ありがとうございました。