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吉成薫先生 最終授業 [2017年01月24日(火)]

今年度をもってご退職される吉成薫先生の最終講義を以下の日程で公開いたします。

日時:2月2日(木)2講時(10:40~12:10)
授業名:『古代エジプト史』
教室:研究館6階6S02

卒業生の皆様、ぜひ吉成先生の最終講義にお越しください。
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卒業論文(卒論)について [2016年10月20日(木)]

エジプト学を専攻している吉成です。

今月は卒論の中間発表会が行われます。4年生が一人ずつ、自分の卒論のテーマと進捗(しんちょく)状況を発表する会で、これをきっかけに、来年1月の提出を目ざして卒論執筆活動が本格化します。

卒論は論文です。論文なんか自分に書けるのかなあと不安に思う人もいると思います。卒論は卒業要件になっていて、書いて出さないことには卒業出来ないことで余計に心配する向きもあるかと思います。それは大丈夫です。大学では1年の基礎ゼミから始めて、演習を通し、研究する姿勢や方法が教えられます。また、先行研究を読むことで、論文の具体的な形態や細かな約束事を知ることができます。要は本人の意識次第ということです。

ここで触れておきたいのは、論文とレポートの違いについてです。論文はその名の通り「論じる」ものでなくてはなりません。つまり、何か疑問を提示し、その答えを見出すために様々な調査・研究を行い、理論的な分析を通して、結論を導き出す必要があります。レポートは何かについて調べて、様々な事実を整理して示せば良いという様なところがありますので、これがレポートと論文の大きな違いということになります。だから論文を書くには疑問(問題点)を見つけ出し、それを論理的に解決するための手段(研究法)が重要になります。大学に入学したら、卒論に向けて、そうしたものを見出し、運用できる能力を身につける努力を日頃から行なってもらいたいと思います。

毎年、百本前後の卒論が提出されますが、そのうちの数本は秀評価を受けます。秀評価というのは、その学問分野の研究として充分評価の対象となる内容を持っているということ、言いかえれば学界に一石を投じる成果だと認められたと言うことになります。確かに卒論には、歴史文化研究という学問の依って立つところを知るために、研究の実際を体験させるという意味があり、そのために学生全員に課しているのですし、卒業して全員が研究者になるわけではないので、適当にやればいいやと考える人も居ると思いますが、一生に一度数ヶ月間だけでも全身全霊を打ち込んで頑張る機会が持てると考えて対処して欲しいと思います。あの時は頑張ったなぁと思い起こせる様にして下さい。

すべりどめ [2016年04月25日(月)]

エジプト学を専門にしている吉成です。

以前、オープンキャンパスで手伝いの学生さん達と話した時に「すべりどめ」という言葉の使い方が違うことに気がつきました。われわれが受験生の時代には、「受験の際、目的の学校を失敗した時の用意に、別の学校を受験しておくこと(新明解国語辞典第三版)」ということで、その場合の別の大学とはかなりの確率で合格できる大学という意識で受験したと思います。その結果すべりどめの大学に入学したときには、ここは自分の居るべきところではない、という様な意識になったと思います。ところが、今の学生さん達の「すべりどめ」は自分の偏差値に合った大学、自分の現実の実力に最も合った大学ということで、本命は自分の偏差値の2ランクアップの大学という認識ということだと教えられました。

こうした認識が生まれた原因としては、18才人口の減少、受験者数が募集人数とほぼ同じで、高望みしなければ誰もが大学に入学できるという状況になっていることがあるのでしょう。

こうなるとわれわれの感覚では、すべりどめが自分に最も合った大学ということの様に思えて、何とも不思議な気分になりました。ということは、昭和女子大学をすべりどめで受験した生徒さん達は、うちの大学に最もふさわしい実力の持ち主達であるということになるのでしょう。その人達の意識が別の本命の大学に向いているとしたら、こんなにつまらないことは無いと感じます。

私は常々、大学入試はミュージカルのオーディションの様なものと考えて来ました。そのアーティストがこの演目にマッチしているかどうかを判断するのがオーディションならば、昭和の学風・教育方針・雰囲気に合う受験生を取り込むのが入試ということではないか、昭和女子大に来る学生はそういう条件に合った感性や感覚を持った人達であって欲しいというのが私の考え方です。

学生さん達が望むもの、大学から提供できるもの、それがピッタリと合えば、お互いハッピーな気分で4年間を過ごすことができると思います。偏差値だけで大学を選ぶのではなく、自分の感性を大切にして、それが最大限に生かせる大学を選んでもらいたいと思います。

昭和女子大は真面目な大学だと思います。そういう方向で努力ができる人にはふさわしい場が提供されていると思います。自分を信じ、最大限の努力ができる人を待っています。

新入生を歓迎する夕食会を開催いたしました! [2016年04月07日(木)]

こんにちは!松田忍(日本近現代史)です。

4月7日で新入生のガイダンス行事が終わりました。今年歴史文化学科に入学したのは90名であり、全員が欠席することなく、学びへの準備を進めました。

その様子を振り返ってみたいと思います。

まずは4月4日には歴文の上級生が企画する新入生歓迎「夕食会」が開催されました。

開会の挨拶を告げつつ、夕食会を準備してきたサブリーダーから乾杯の挨拶。

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かんぱーい!!(ソフトドリンクです!)

金尾朗副学長と増澤史子人間文化学部長の御挨拶……DSCN9979_R_R

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そして・・・

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夕食会準備を一生懸命おこなってきた歴文の新3年生からも歓迎の挨拶です!

夕食会は各テーブルを10人程度で囲む立食パーティ形式でした。各テーブルの様子をのぞいてみましょう。

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まずは野口朋隆先生(日本近世史)のテーブル。新入生と上級生でいろいろな情報交換がなされたようです。

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みんなのアイドル、小野寺拓也先生(西洋近現代史)。「この写真は載せるな!」といわれたのですが、それすなわち「載せろ!」という意味だと解釈して掲載します(ニヤリ)。

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吉成薫先生(エジプト史学)もこの表情。楽しそうですね!

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今年4月から着任された鶴岡明美先生(日本美術史・中央奥)も、早くも新入生の輪の中心に!

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教職担当の緩利誠先生(教育学)も歴文の夕食会にかけつけてくださいました!

その他のテーブルのようす……!

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会の後半になると、先輩たちから歴文紹介のプレゼン、三軒茶屋紹介のプレゼンがなされ、そして、恒例のクイズ大会へ!DSCN0008_R_R

出題されたのは・・・

昭和女子大学の建学の精神は?? 【正解】世の光となろう

歴史文化学科のキーワードは?? 【正解】手で考え、足で見る

といった基本問題や先生方の顔当てクイズなどでした。

上位3チームには学科長の菊池誠一先生(ベトナム考古学)から賞品が!

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4月から着任された金子朝子学長の御挨拶。ご自身の学生時代の体験を面白おかしく話してくださりながら、知識を活用していくことの重要性を伝えて下さいました。新入生達も真剣に聞き入っていましたよ!

〆は新3年生の夕食会リーダーの挨拶。金子学長も暖かく見守ってくださっています。

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新入生に聞いてみると、夕食会で新しく話すことができた友だちもたくさんいるとのことで、本当に開催して良かったなと思っています。3ヵ月かけて準備して下さった上級生のみなさま、本当にありがとうございます。君らの気持ちはしっかり伝わったと思うよ!

文化史学会第32回大会のご案内 [2015年11月30日(月)]

12月5日(土)に文化史学会第32回大会が開催されます。
どなたでも参加自由ですので、ふるってご参加ください。
〈日時〉平成27年12月5日(土)13:30~17:00
〈会場〉昭和女子大学 研究館6階 6S03教室
〈参加費〉無料(申込不要)

☆★大会プログラム★☆
13:30~ 
  【開会挨拶】
13:35~14:20
  【大会講演】吉成薫(昭和女子大学教授)
    「古代エジプト史と日本古代史」
〈休憩〉
14:25~15:10
  【大会講演】早田啓子(昭和女子大学教授)
    「仏教の思想と文化」
〈休憩〉
15:20~15:40
  【調査報告】石下翔子(昭和女子大学大学院生)・鈴木英里香(昭和女子大学大学院生)
        高田夏帆(昭和女子大学大学院生)
        小泉玲子(昭和女子大学教授)・山本暉久(昭和女子大学教授)
    「山梨県北杜市諏訪原遺跡2015年夏季発掘調査報告」

〈休憩〉
  
15:55~16:25 
  【研究発表】角田美保子(昭和女子大学助手)
    「明治期女子洋装の制度化
     -美子皇后の大礼服洋装化への準備過程-(仮)」
16:30~
  【閉会挨拶】
終了後、懇親会を行いますので是非ご参加ください!

【懇親会】
 〈時間〉17:00~
 〈会場〉研究館5階学生ホール
 〈会費〉無料
文化史学会大会に関するお問い合わせは
昭和女子大学 人間文化学部 歴史文化学科 教授室
(Tel:03-3411ー5375/Fax:03-3411-7059)
までお願いします。
第31回大会の様子

第31回大会の様子

古代史の勉強の仕方 [2015年10月22日(木)]

古代エジプト史を専攻している吉成です。

最近読んだ本を紹介したいと思います。笹山晴生『古代をあゆむ』吉川弘文館2500-です。筆者は日本古代史を専門とする東京大学の名誉教授で、今まで文章や講演のかたちで発表してきたものの中から選んだ9篇をまとめた本だということで、第Ⅰ章は「古代史を見る目」と題し、「日本古代史と飛鳥」、「古代の資料を読む」、「畿内王権論」という文章が収められ、第Ⅱ章は「地域史と日本・アジア」と題し、「古代出羽の史的位置」、「東北の古代社会と律令制」、「鞠智城と古代の西海道」、「景行天皇の九州巡幸説話」という文章が、第Ⅲ章では「先学に学ぶ」と題し、日本古代史研究家である坂本太郎と井上光貞の評伝が収められています。

私の専門分野は古代エジプトですが、他の分野の古代史家の書いたものに興味があり、よく読みます。今回もそうした読書でしたが、皆さんの参考になるかもしれない件りを見つけましたので紹介しておきたいと考えました。

本書の第Ⅰ章の「古代の史料を読む」は学習院大学文学部史学科の『歴史遊学』平成13年版に書かれたものだそうですが、古代史を勉強するための「基礎的な知識と修練」、「史料の諸相」として古代の史料を読むために必要と思われる基礎的なことが色々と書かれています。そこで強調されているのは、そうした基礎は高等学校で学んで修得しているはずだが、不充分だと感じたら一・二年生のうちに復習し、しっかり勉強してほしいということ。さらに、文献史学から知られる事実を考古学の研究成果と安易に結びつけることは慎まなければならないことが強調されています。

古代史に関心をもつきっかけは様々であろうが、ほんとうに古代史を勉強しようと思ったら、きびしい修練が必要であると書かれていて、自分のことを顧みると、史料の状況があいまいであることをいいことに、研究の方法論の厳密さを疎かにしているのではないかと、反省を促されている様に感じました。先達の文章を読むことで、自分の姿勢を立て直す機会が得られるのは、何よりも有難いことだと思います。皆さんにも先学の言葉を意識して求め、軌道修正を心がけて欲しいと思いました。

(10月22日)

同音異義語 [2015年04月27日(月)]

エジプト学を専攻している吉成です。唐突ですが、時代劇などで肺結核のことを「労咳ろうがい」と呼ぶのを聞いたことがあると思います。

もう10年以上も前になりますが、盛んに咳をなさっていた年配の女の先生にふざけて「労咳ですか?」と言ったことがありました。すると、そこに居合わせた助手さんが驚いたように呆れ顔で、私の方を見ているので、何か失敗をしたのかと考えて「ああそうか。」と思ったのは、その助手さんの語彙には労咳という単語はなく「ろうがい」というと「老害」という当時流行っていた単語が浮かんだのだということ、つまり私がその女の先生に「年を取って、世の中の迷惑でしょう。」と面と向かって揶揄したと理解したということでした。先生はその場の気まずい状況を感じ取られたのでしょう。「どう臈長けて美しくなったでしょう。」と返してくださいましたので、やっと安心しました。結核を煩うと肌が透ける様に白くなって、女性はどんどん美しくなっていくという話はよく聞きますので、それにひっかけて先生は答えてくださったということです。助手さんは了解してくれたのでしょうか。

何が言いたいかというと、言葉を使うとき、それと同音の言葉に気を付けないととんだ誤解をまねく可能性があるということ、同音異義語には注意しましょうということ、特に専門用語を使うときに専門外の人に気を使いましょうということでした。

(4月27日)

エジプト学の研究対象 [2014年10月23日(木)]

古代エジプトを勉強している吉成です。今回はいつもとはちがう話題を取り上げましょう。 

猫です。 

古代エジプトの美術作品には猫が表現されていることがあります。末期王朝時代のブロンズ像、新王国時代の墓の壁画のモチーフなどがその代表でしょう。古代エジプトでは猫がペットとして飼われていたことが知られています。ヘロドトスの『歴史』ではエジプト社会で猫が大切にされていたことが伝えられています。 

古代エジプトの猫の代表はエジプシャンマウと呼ばれる種類です。「マウ」というのは古代エジプト語をそのまま名称としているもので、ヒエログリフの読み方では「ミウ」これは「猫」という意味でその鳴き声からできた単語だと考えられています。(ちなみにマウというのはエジプト研究の古い段階で使われたヒエログリフの音訳の方式に従った結果だと考えられます。)
最近入手した『世界で一番美しい猫の図鑑』(2014 エクスナレッジ発行)によれば、エジプシャンマウは現存する猫のうち最古の種とされています。 

『世界で一番美しい猫の図鑑』より       エジプシャンマウ(クリックで拡大します)

美術作品で表現されているのもこの種だと考えられます。

エジプトの猫というとアビシニアンが良く取り上げられますが、上述の図鑑によると、アビシニアンは中世(ということはイスラム教成立以降)のものであるとされています。エジプシャンマウはもともとエジプトに居た野生の猫(リビアヤマネコがその代表だそうです。)が改良されたもので、水に濡れることを嫌う筈の猫がナイル河沿岸の沼地で水鳥の巣を狙う姿や、飼い主の娯楽に従って、投げ棒で打ち落とされた水鳥を猟犬の様に飼い主のもとにはこんで来る姿で描かれていることが、野生種から改良されて間もない事実を表しているとされます。

猫は神としても表現されています。バステト女神また暗黒の蛇神アポピスを切り刻むラー神の化身などですが、蓄えた穀物に害を及ぼすネズミや人を傷つける蛇を退治する猫の性質がありがたいと評価され神格化に結びついたと考えられています。

古代エジプトを研究する学問を「エジプト学」と言いますが、その研究対象はありとあらゆる事象、つまりエジプト文明の要素であれば何を研究してもよいことになっています。もちろん猫でも犬でも、好きなもの、自分の気になるものがエジプトにあれば、それを研究することが出来るのです。もちろんそのためには基礎的な学問の訓練は必要です(例えばヒエログリフの学習など)が、こんなに自由な学問分野はほかに見当たらないと言えそうです。エジプト学研究に参加する人を求めます。

男の子の名前 [2014年07月23日(水)]

古代エジプトを軸に、古代オリエント地域の歴史・文化を勉強している吉成です。

 ワールドカップ・ブラジル大会FIFA2014Brasilは閉会しましたが、ここで問題です。ブラジルのセンターバックの1人ルイス、スペインのフォワード ビジヤ、ミッドフィールダー シルバ、この3選手に共通していることは何でしょう。答えは元イングランド代表「貴公子」ベッカムにもあてはまります。

 

 

 

 

答えは三人ともダビドという名前だということ。

ベッカムはデイビッドですが、これも同じと考えます。つまり、それらの元は紀元前1000年頃のイスラエル王ダビデだからです。ちなみにディビーという名も同様です。ダビデと言うとミケランジェロの大理石像が思い浮かぶでしょうが、あれは王になる以前の若い時にペリシテ人のゴリアテとの闘いに臨む姿を表していると言われています。この闘いのエピソードに感動して息子にダビデの名をつける親が多いということでしょう。王に選出されたあと亡命してペリシテ軍の武将をしてヘブロンに進駐した際に、ユダの人々から信任され王位につき、イスラエルの信任も得て、統一王国の王になったとされます。しかし、王位に即いてからのダビデの行状には問題があります。ある夕暮れ、バテシバという名の美しい人妻が水浴びをしているのを見た彼は、強引に自分のものとすると、さらにバテシバの夫を激しい戦いの最前線に出し、軍隊は退却して夫だけを残して討死させる様司令官に指示しており、その通り夫は戦死します。晴れてバテシバを自分の家に召し入れ、二人の間には男の子が生まれますが、主の怒りに触れて病気になり死にます。その後生まれたのがソロモンです。こうした行状を知るとダビデという名をつけるのはどうかと考えるのではないかと思われますが、実際はそうでもない様です。

英雄色を好むのは万国共通の観念なのでしょうか。ちなみにFIFA(フィファ)というのはフランス語Fédération Internationale de Football Association「国際サッカー連盟」のことです。サッカーの正式名はassociation footballと言い、associationの略語がsoccerとなったとされます。ちなみに慶応大学はソッカー部という表記を使っています。

気になっていること [2014年04月28日(月)]

古代エジプトを専門にしている吉成です。
去年も同じ様なことを書きましたが、語学について気になっていることを書きます。

4月から始まったラジオのフランス語入門講座を聞いていて、簡単な会話で「どちらにお住いですか」という言いまわしがVous habitez où ? になっていたことです。私が学生時代に習った言いまわしは Où habitez-vous ? が普通だったと思いますし、こちらの方を覚えていたのですが、ラジオのフランス語講座ではVous habitez où ?のほうが一般的だとして、最近はそっちの方を教えている様に思います。Où habitez-vous ? は堅く畏まった感じがするらしいのです。

そこで気になったことですが、英語でも同じ様にDo you live(あるいはYou live)where ?というのが普通になっているのかどうかということです。当然われわれはwhere do you live ?と習って、これが正しいと思っているわけですが。