第2回特殊研究講座

学外の先生をお招きして心理学研究の最先端のお話をうかがう特殊研究講座の本年度第2回が、11月1日(土)に開催されました。

臨床死生学・老年行動学がご専門の大阪大学大学院人間科学研究科教授の佐藤眞一先生に、「老年行動学からみた高齢者のこころ」というテーマで、社会学的なマクロな視点と心理学的なミクロの視点の両視点からご講義いただきました。

はじめに、高齢者の孤立と孤独の問題について、どのような生活をしたり認識をもったりすることが孤独な状態を生んでしまうのか、また、それを防ぐためには何が必要なのかなど、高齢者に関する現在の課題についてお話しいただきました。つづいて、ほとんどの人が長寿で高齢者になれる、これからの大衆長寿社会における新たな課題についてお話しいただきました。

さらに、加齢にともなう認知機能の変化として、「注意」の機能について、ストループ効果の体験などもおりまぜながら、お話しいただきました。特に、多くの情報の中から特定の情報を選んだり、同時に複数の課題を行なったりする場合の注意のように、「加齢による影響を受けやすい種類の注意」と、注意を向け続ける場合のように、「加齢による影響を受けにくい種類の注意」があることや、認知症の高齢者の行動特徴など、大変興味深い内容について伺うことができました。

大学生にとっては、少し遠い将来の話なので、普段はあまり意識していないテーマだったと思いますが、この講演により、「お年寄りのこころ」に関する理解がとても深まったのではないかと思います。

(文責:清水 裕)