【文学言語学専攻】第一回の日本語教員試験(国家試験)合格者よりメッセージ!

〇受験のきっかけについて
2022年度に、フルブライトFLTAプログラムに参加し、アメリカ、ワイオミング州の大学で日本語を1年間教え、帰国後も引き続きオンラインで指導しています。私は英語教育専攻のため、渡米するときからずっと、日本語の教授法を専門に学んでいない自分が指導に当たってよいのだろうかと思っていたため、帰国後、国際生涯学習研究財団の行っている420時間の日本語教員養成講座を受講し、2024年4月に修了しました。11月に、第一回の日本語教員試験(国家試験)が行われると知り、養成講座で得た知識を忘れないうちに受験することを決めました。

〇試験勉強について
私は都内の私立大学で英語の授業を担当し、日本語学校でも日本語を教えています。また、昭和女子大学の博士課程の授業のほか、他大学の科目等履修の授業も受講しているため、日本語教員試験のための特訓講座などに通う時間的余裕もありませんでした。そこで、予想問題集を買ったり、YouTubeで予想問題情報の動画を見たりして、自分なりに準備を進めました。特に、日本語の音声に関する問題は、養成講座を受講していた時とても苦手だったので、調音点、調音法の表を毎日ノートに書いて、日本語の五十音がどこに配置されるかを覚えました。今回のテストは初回だったので、過去問題もなく、得られる情報も予想でしかなかったため、勉強していても全く自信がなく、「これでいいのかなぁ」と毎日不安でした。私は経過措置Cルートという方法でテストを受験し、午後に行われる応用試験のみの受験でよかったのですが、リスニング50分、筆記問題100分の集中力を保つこと自体とても大変でした。また、リスニング問題の数問がとても聞きにくいという音声トラブルがあり、私が受験した会場では希望者のみ再試験となりました。(私は再試験の日程が合わず、再試験は受験しませんでした。)そして、なんとか合格することができました。

〇実際の試験について
出題される問題は、留学生の発音する音声を聞いて、どのような点が間違っているかを選択するものや、聴解問題を聞き、どのような力を測定する問題であるか、また、授業の教案を見て改善点はどこかを選択するもの、留学生の書いた文章を読み、機械翻訳を使ったと思われる部分についてどのように指導をするとよいか、母語の転移があると思われる場所はどこかを特定するなど、多岐にわたる問題が出題されました。今後は今回の出題傾向を踏まえた問題集なども発売されると思いますので、これから受験される方は、そのような問題集などを参考にしながら、様々な分野を網羅しつつ、苦手なところは集中的に覚えておくとよいのではないかと思います。私は苦手な調音点・調音法の表を、試験が始まったらすぐに余白に書き込み、テスト中に記憶が飛ばないようにしました。また、近年のデータや時事的な内容を扱った問題(日本で学ぶ留学生の出身国ベスト3など)もあったため、日本語教育に関するニュースなどには目を通しておくとよいと感じました。私はテスト準備をしている頃、教えている日本語学校で取ったデータで論文を書いていたので、その知識が役立ちました。

〇これから挑戦する方へのメッセージ
現在英語と日本語を教えていて、言語を学ぶことは、学ぶ人の未来を世界に開く扉だと感じます。これからも、英語でも日本語でも、母語ではない言語を学ぶ楽しさを、学習者の皆さんに伝えられたらいいなと感じています。
これから日本語教員試験を受験する皆さんは、頑張ってください!

文学言語学専攻3年 大野直子