昨年の秋から9か月にわたり私たち大学院生(言語教育・コミュニケーション専攻/文学言語教育専攻)が日本語サポートをしてきたエマさん(本学附属高校留学生、イタリア出身)が、自分が大好きな宇宙に関する講義を私にしてくれました。
これまでエマさんと一緒に留学していたSさん(イギリス出身)がすでに1か月前に帰国してしまい、残りの時間はエマさんと私で1対1の日本語サポートの時間になっていました。私はどのような授業がエマさんにとって有意義なのだろうかと考えていたところ、以前「宇宙が好きで科学者になりたい」と話してくれたエマさんの言葉を思い出しました。そこで「次の授業では宇宙について教えてもらえませんか?」と提案したら、エマさんは「宇宙の話をしたかったけど、その機会がなかったの。早く家に帰って授業の準備したい!」と、とても嬉しそうな声で答えてくれました。
エマさんの1回目の「宇宙授業」では、太陽や惑星、そしてそれらの間に存在する無数の星について説明してくれました。授業を始める前に、エマさんは私が宇宙についてどこまで知っているのか、どの惑星を知っているかなどを丁寧に確認してくれてから進めてくれました。宇宙に関する日本語は難しい語彙(専門用語)が多いため、私はエマさんに「辞書や本を見ながらゆっくり進めても大丈夫ですよ」と伝えていました。驚くことにエマさんはすべての惑星の名前を漢字で黒板に書きながら説明を始めました。これまで漢字の読み書きには自信がなかったエマさんが、講義のために自ら調べ、覚えた漢字を板書しながら説明してくれる姿に、日本語サポーターとして私は大きな喜びを感じました。
授業時間は45分でしたが、それだけでは足りなくて休み時間まで延長しましたが、エマさんは翌週も「宇宙授業」をやりたいと言ってくれました。
2回目の「宇宙授業」はビッグバンに関する内容でした。エマさんは、今回も説明を始める前に、ビッグバンや光の移動速度について私がどこまで知っているかを丁寧に確認したうえで授業を進めてくれました。この日もまた、休み時間まで延長してくれました。この時間はほんとうに楽しくて深い学びの時間だったと実感できました。
私たちは9か月前は日本語サポーターと日本語学習者という関係でしたが、今はもうお互いが学び合う仲間になったと感じられました。エマさんは宇宙について私に教え、私はエマさんが日本語で説明する表現をサポートしていました。まさに協働学習の場でした。このような学び合いの場に参加できる「日本語サポート活動」を続けていきたいと強く思いました。
キム ヒョジュ(文学研究科 研究生)