2016年1月

平成27年度 第2回FD講演会報告(12月9日実施) [2016年01月22日(金)]

開催日:平成27年12月9日(水)15:00~16:00
場所 :学園本部館3階 大会議室
テーマ:「英語を使用言語とする国際教養の実践について」
講師 :重松優特命准教授(昭和女子大学人間文化学部国際学科)
参加者数: 71名

国際学科特命准教授の重松優先生を講師にお迎えし、英語を使用言語とする講義の実践例について詳細にご紹介頂いた。講演では、早稲田大学社会科学部の現代日本学教育プログラム(Contemporary Japanese Study Program:CJSP)や本学での講義を素材として、➀授業設計上の工夫、➁授業運営上の具体的方策、➂成功・失敗例から得た課題について指摘がなされた。要旨は以下のとおりである。
CJSPは、主にアジア諸国からの留学生と日本人学生が受講する英語による学際教育プログラムで、日本と世界、技術と環境、文化と歴史、社会と政治の4領域で構成されており、主に歴史・文化、ものづくり・環境、マンガ・アニメをテーマに日本学講義を担当してきた。
一口に国際教育といっても、履修者が日本人か留学生か、使用言語が日本語か英語かの組み合わせによって4つのタイプに分けることができる。授業を設計する際は、履修者構成によってニーズが異なる点に注意しなければならない。英語で日本学を教える場合、日本人学生のニーズは、日本学を素材に英語を学ぶという点にあり、留学の準備やアフターケアを期待する。一方、留学生の場合は、既に英語力が高く、日本学を学ぶ点にニーズがある反面、欧米での留学を断念した学生も多く、モチベーションを高める工夫が求められる。留学生には、潜在的に日本語力向上のニーズもあり、英語を使用言語として設計されたプログラムでは必然的に日本語学習時間が不足する。そのため、日本語と英語双方のケアを考慮する場面が出てくる。
また、国際教育授業では、少人数教育のための履修者数のコントロール、テキストの選定、授業内の時間構成にも工夫が必要である。特にキャンパス内の寮で学生生活を送る欧米では、週2回の50分授業と週1回のTAによるフォローで講義が構成される手法が一般的で、そうした感覚では、1回90分の日本の授業は長く感じる。そこで授業を、前説、講義、アクティビティの3要素で構成するよう設計している。
授業運営上の具体的方策については、シラバスを示しながら説明がなされた。普段の授業は、授業内容に関連したYouTube動画や最近のニュースなど軽い話題(前説)から入り、対訳で1次資料を紹介するハンドアウトを丁寧に準備しつつ、日本人と留学生の履修者構成を考慮し、英語と日本語を効果的に使用できるメディアとしてのマンガを活用して、資料のみでは窺い知れない人物や情景についても視覚的に理解できるよう、硬軟織り交ぜた授業運営を試みている。また、歴史・文化、ものづくり・環境、マンガ・アニメをテーマとしていることから、学生を現場に引率する特別授業や、落語家による実演、自ら撮影したビデオの放映を取り入れるなど、現地現物に触れる工夫を行っている。
学生に課す課題については、日本人には英語学習に資するよう、留学生には基礎知識を身につけられるよう、学生の習熟度に応じて設定し、エッセイ形式の期末テストに至るまでをサポートしている。また、学生が積極的にプレゼンテーションできるよう、学生が準備して臨む提案型の発表を組み込んでいる。
履修者構成が変わると授業の雰囲気も変わってくる。国際教育プログラム全体の課題には、コピペ対策、歴史問題への配慮、卒業後のキャリアパスのサポートなど様々あるが、特に、留学生と日本人学生が気軽に参加できるよう環境を整えることが重要である。
約50分の講演後、早稲田大学と本学の留学生の反応の違いや日本人学生の参加動機などについて質疑応答がなされ、盛会の内に終了した。

以上

平成27年度第2回FD講演会アンケート結果
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