2021年度FD講演会

開催日:2021年6月16日(水)16:30~17:45
場所 :Zoom(グリーンホールにおいても同時配信)
テーマ:「ハイブリッド型授業の実践とポストコロナを見据えた展開」
講師 :浦田 悠 氏・村上 正行 氏 (大阪大学 全学教育推進機構 教育学習支援部)

本講演では、はじめに、目的として、ハイブリッド授業の運営、デザイン、および環境整備の方法を理解し、実践できるようになることが示され、3つの目標が提示された。
目標1「ハイブリッド授業の特徴や効果的な運営方法を説明できる」
授業の類型には、対面授業、オンライン授業に加え、対面授業とオンライン授業を組み合わせたハイブリッド授業(ブレインディッド型授業)があり、ハイブリッド授業にはハイフレックス型授業や分散型授業も含まれる。ハイクレックス型授業とは、対面、同期(オンライン)、非同期(オンライン)の3つの授業形式を柔軟に選択できる方法で、学生にとっては、時間的・内容的に柔軟に受講できるため、参加の難しかった授業が受講できたり、学習資源が増えるというメリットがある。教員においても、同じ時間・教材で多くの学生に対応でき、対面授業ができない場合の代替手段を提供できるというメリットがある反面、様々な受講形態の学生の受講準備・管理・フィードバックへの負担が大きくなる。オンライン授業では、できるだけディスカッションなどの機会を取り入れ、対面以上に授業設計を明確化し、学生に明示し、使用するツールを絞り、スライドの文字は大きめのゴシック体とするなどの工夫が必要である。
目標2「ハイブリッド授業のデザインや評価を説明できる」
インストラクショナルデザイン(ID)とは、教育活動の効果と効率と魅力を高めるための手法を集大成したモデルや研究分野、またはそのプロセスを指す。学生の実力がつく、期待に応えるだけの修了生が出せるといった「教育効果」、短時間で無駄なく、学生も教員も省エネで、これまでの教材が再利用できるなどの「教育効率」、さらに勉強したいと思うようになるなどの「魅力」の高い授業が「良い授業」と言えるだろう。授業を設計する際は、出口(学習目標)から設計するバックワードデザイン(逆向き設計)を採用する。例えば、最初に学習目標を評価するためのレポートやテストを作成し、それを達成するための授業を実施する。ガニエの9教授事象においても、導入で学習者に目標を知らせる。また、フィードバックを与えることも重要である。オンラインで学習を評価するための10のポイントとして、学問的誠実性について教える、形成的評価を積極的に取り入れる、問題を工夫する、出題パターンを増やすなどがある。
目標3「ハイブリッド授業の環境を整えることができる」
ハイフレックス型授業用機材としては、PC、三脚、ウェブカメラに加え、スピーカーフォンが必要である。授業の特徴と受講人数に合わせた機材やサービスを使用することが重要である。
講演後、質疑応答が行われ盛会のうちに終了した。
以上