【現代社会と社会学】という専門科目では、担当のシム チュン・キャット先生のもと、多角的に物事を捉え「疑う力」の育成を目指して、現代社会の身近な問題、我々が直面している問題や生きる上での課題などについて考えながら、社会学の基礎を学んでいます。
6月29日には、ローレルゲート株式会社代表取締役・公益社団法人全日本アーチェリー連盟理事の守屋麻樹先生にお越しいただき、「スポーツとジェンダー」についてディスカッションを中心に講義が行われました。
ディスカッションでは、4つのテーマについて、それぞれ3つのグループに分かれて話し合いました。テーマとしては「ニュージーランドの重量挙げ選手が五輪で初めてのトランスジェンダー選手となったこと」や「東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森会長(当時)が『女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる』と発言したこと」などホットなトピックスから、「大相撲春巡業で、土俵上で倒れた多々見(たたみ)良三市長の救命処置をした女性に対し土俵の女人禁制を理由に土俵から下りるように場内放送で促したこと」や「『女性マネージャー』という日本にしかない役割について」など長年にわたり重要視されてきた「伝統」や「ステレオタイプ」まで、幅広く議論を交わしました。
日本のスポーツ界には、「体育会系」特有の厳しい上下関係が存在し、また「伝統」が重んじられる傾向にあります。しかし、その「伝統」はいつから続いているものなのでしょうか。誰が決めたのでしょうか。一度立ち止まって考えると、疑うことすらしなかった「当たり前」や無意識の「思い込み」がたくさんあり、その一つひとつの小さな「当たり前」が社会全体を覆っていることに気が付きます。そして、そういった事実を認識したうえで、問題を一時の問題意識で終わらせないためにはどうすればよいのか、周りの人たちを巻き込んで社会を変えるにはどうするべきか、解決の糸口を考えました。
オリンピック憲章には、「オリンピズムの目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てることである」「スポーツをすることは人権の1つである。すべての個人はいかなる種類の差別も受けることなく、オリンピック精神に基づき、スポーツをする機会を与えられなければならない」と記載されています。様々な学びを通して、スポーツのあり方とスポーツをきっかけに平和な社会の推進のために私たちにできることは何か、考え続けていくことが重要であると気付かされました。このような貴重な場を設けてくださった、シム先生、守屋先生、本当にありがとうございました!
記事:2年・和田