『広告文化論』 広告主のみを会員とする日本アドバタイザーズ協会の中島聡専務理事が、「広告コミュニケーションの現状と課題」について特別講義

皆さんこんにちは!
現代教養学科3年の松田治子です。

5/24(金)の「広告文化論」のゲスト講師として、日本アドバタイザーズ協会専務理事の中島聡さんにご講義いただきました。
中島さんは、日本アドバタイザーズ協会のみならず、一般社団法人デジタル広告品質認証機構代表理事、日本広告審査機構理事、ACC理事など、様々な機関で活躍されています。同時に、明治大学大学院や高千穂大学大学院でも教鞭をとられています。

講義中のディスカッション風景(右は講義担当の現代教養学科見山謙一郎教授)

今回の講義では、「日本の広告コミュニケーションの現状と課題」について、社会情勢やテクノロジーによって変容していく消費者の心を起点に、今後の広告がどのように発展していくのかについてお話いただきました。

10年先を見越したマクロ10メガトレンドは、主体の多様化・世界のデジタル化・ウェルネス化・サステナブル化を基に構造形成されています。また、デジタル化に関しては、2023年の日本の総広告費7.3兆円のうち、ネット広告が3.3兆円を占め4大メディアの合計広告費を上回るなど、ネット広告の躍進がうかがえます。
私は、4大メディアよりもネット広告が躍進しており、特に検索連動型広告やソーシャル広告のSNS系広告がそれに占める割合が高いといったことは知っていましたが、今回伺った話から、大きく視野が広がりました。

中でも、広告に対する消費者の意識として、2016年には広告のポストトゥルース化(情報の真偽よりも自分にとって都合がいいかどうかで判断する)が進んでいたが、翌2017年にP&Gのトップであるマーク・リチャード氏がネット広告のアドフラウド(広告詐欺のこと、例を挙げるとするならばクリック数に応じて課金されたりすること)などのネット広告の闇を指摘したことにより、その問題が広く認識されました。日本はこの問題に対して、現在に至るまで未対策率が13.2%と他国に比べて対策が遅れており、対策が急がれている状況だそうです。

また、近年の広告は以前までと違い「買ってほしい」だけを前面に出している広告は社会で受け容れられなくなり、誰も置いていかない公益性・共益性を謳った広告にシフト転換されていると言います。

中島聡専務理事(公益社団法人日本アドバタイザーズ協会)

今回の特別講義の中で、私自身が最も印象に残っているのは、中島さんが大切になさっている根本的な考え方です。
中島さんは「広告コミュニケーションとは、人々に夢と希望を与えるものである」と仰っていました。

中島さんは講義中に「人々を幸せにするために」、「みんなの役に立つ」、「消費者がハッピーになる」、「誰も置いていかない」など、広告コミュニケーションにおいて、受け手側の視点に立つことの重要性を連想させるような発言を何度もされていました。
講義後にお話を伺った際にも、統計学などの知識の他に「心理学の知識」など、人を相手に考える際に必要となる想像性などの重要性を教えてくださいました。

私にとって、これまで広告コミュニケーションとは、単に広告という媒体を通して意志を表現する行為という認識でした。しかし、今回の講義をお聞きして、広告コミュニケーションとは、単にモノやサービスを取引しているのではなく、それに付随している機能が取引されることによって、人々に幸せのピースが付与される行為であると考えを改めました。

最後になりましたが、中島さん、この度は貴重なご講義をありがとうございました!

講義の様子

(現代教養学科3年松田治子)