授業紹介【メディア・コミュニケーション論】講談社の方が出版の仕事の魅力を語る

現代教養学科2年の須藤です。 7月12日(金)の「メディア・コミュニケーション論」の授業では、講談社の広部潤さんにご講演いただきました。

今回のご講演では、広部さんがこれまで担当されてきた雑誌、書籍、ウェブメディアの3つのメディアの編集や、法務、知財担当部署での仕事などについてお話しいただきました。

 

 

広部さんのお話の中で、本を書くことは自分が大切だと考えることを読者と共有したい気持ちの表れだというお話があり、本を書くことで誰かに伝えたい、自分が発信していることをわかってもらいたいという思いがあるからこそ、本を書くことができるのだと感じました。また、人にインタビューをする際は、特定の答えを相手から引き出そうとする誘導のような問いかけは決してせず、相手の多面的な気持ちや考えを尊重することを意識するのが大切だというお話もありました。また、人物インタビューをする相手についてはなるべく事前に丁寧にリサーチして、その人の魅力的な面を伝えるにはどうしたらよいのか最大限考えてコンテンツを作るのが、自分にとっては望ましいやり方だと思うとお話をしてくださいました。そのような意識を持ってインタビューされてきたからこそ、世間から評価される本の出版につながったのではないかと考えることもできました。私にとって身近なメディアであるテレビでは週刊誌の報道をもとに、有名人のスキャンダルを取り上げることが多い印象を受けますが、正当な手段でインタビューを行っている人がいるからこそ、スキャンダル以外の情報も私たちは得ることができているのだと感じました。

 また、人と会うことによって思いがけないきっかけが生まれるというお話もしてくださり、広部さんが関わってきた仕事においては多くの人とのつながりが重要であることや、人との関係が作品そのものに影響を与えてきたのだと知りました。書籍の編集の仕事では、執筆を正式にオファーしてから原稿ができるまでに時間がかかり、予定通りに進まないことも少なくないそうです。だからこそ、人と関わる仕事においては人とどう向き合うかが重要であることや、編集者が最初の読者となるため、読者目線で面白いか面白くないか判断することを心がけているとおっしゃっていました。そのため、編集関連の仕事を希望する場合は、編集者としての判断をできるように、まずは多くの作品に触れ読者目線で作品を見ることのできる力をつけることが大切であると感じました。

 

 

続いて媒体の変化についてです。時代の変化とともに紙媒体からウェブでの発信が増え、今では誰でもインターネットによる情報発信が可能となっています。広部さんは十数年前、ウェブメディアの編集部に移ったとき、ウェブでは紙と比べて読者からの反応がダイレクトに伝わることに驚いたそうです。さらに、文字数についても紙のように厳密なスペースの制約がないため、書きたいことが多い人にはその希望に沿って長めに書いていただくことが可能になっています。同時にまた、締切に追われる感覚が薄くなった経験についても話してくださいました。紙の雑誌の場合は原稿が締切に間に合わないと掲載されませんが、ウェブの場合は原稿ができればすぐに掲載、公開されるため、厳しい締切を設けるという意識が少なくなったようです。そのため、編集者もデッドライン前に必死で筆者に原稿を催促するということが減り、筆者も書くのを先延ばしして、なかなか原稿が来ないというケースもあるのだとか。そのため、変化にどのように適応していくのかが今後のメディアにとって重要なのではないかと考えました。また、多くの仕事において人との関わりが重要なこととして挙げられますが、書籍等の作品は、編集者と筆者との信頼関係で作品の良し悪しが決まるため、自分自身が信頼できる人間であることが重要であると考えました。

 最後に、世の中の風潮が変化したことで、他者に対して何かを強制することができない時代になったからこそ、自らの判断で一歩を踏み出せるようにすることが大事であるというお話がありました。そのため、自らの意思で何かを選択できるようにすること、そして熱中できるものを見つけ、熱中できるものを見つける課程で何かを得ること。これらが重要であると学びました。そのためには、自分の行動に責任を持つことのできる揺るぎない信念を持つことが重要なのではないかと感じました。将来どの業界に進むことになったとしても、その先で自分自身の成長につなげられるように、日ごろからいろいろなことに関心を持ち、視野を広げられるようにしていきたいと思います。

広部さん、この度はご講演、ありがとうございました。