授業紹介【ビッグデータ応用論】自分でデータを取って分析することに挑戦!

みなさん、こんにちは。現代教養学科には、「ビッグデータ応用論」という選択科目があります。

この「ビッグデータ」とは何なのでしょうか。
これは、名前の通り「非常に分量の大きなデータ」ということであり、エクセルなどの私たちが日常で使うソフトウェアでは扱いきれない大きなデータを指します。ビッグデータには、社会生活のほとんどが丸ごと蓄積されていると考えられます。たとえば、ポイントカードの履歴やSNSへの投稿、スマホの位置情報など、様々なITサービスが私たちに提供されているのに関連して、私たちの意識しないところでデータが自動的に蓄積されているのです。
ビッグデータは意識的に集められたものではなく、必ずしもその利用が前提とされていないため、人間にとってわかりやすいデータや機械で処理しやすいデータだとは限りません。また、データ件数が多いため、人間が全てに目を通したり、手作業で集計したりすることにも限界があります。そのため、ビッグデータを活用するにはコンピュータのスキルが必須となるのです。

「ビッグデータ応用論」では、ビッグデータを活用するためのスキルについて、その初歩を実践する授業があります。ここでは2つ紹介します。
1つ目は、自分のスマホで加速度のデータを取得し、それをグラフ化するという授業です。ここでの加速度とは、スマホを基準として左右・上下・表裏の3つの方向にかかる力のことを指します。たとえば、机の上に水平にスマホを置いている状態だとスマホの表裏方向に力がかかっており、走りながらスマホを縦に振っている状態だと上下方向に力がかかっています。ここでの力とは地球の重力です。今回の授業では「phyphox」というスマホアプリを使って、自由な動きをしてそのデータをとり、それを「R」というパソコンソフトを使って、左右・上下・表裏の3つの軸に分けてグラフ化しました。
こちらは、実際にphyphoxで取った加速度データとグラフの完成図です。ここでは、「机の上に置いたスマホを持ち上げて、クッション性のある椅子に落とす」という動きをしました。スマホを置いているときには表裏の方向に重力がかかるため、グラフでは表裏の軸の数値が約10になっています(グラフでは合計の灰色に隠れて表裏の緑色が見えません)。また、スマホが落下している最中だけは無重力に近い状態となるため、灰色のグラフでも数値がゼロになっています。ジェットコースターが落下しているときにふわっとした、浮いた感覚を感じることがありますが、そのときがまさに無重力状態であるといえます。その直後にスマホは椅子に着地しますが、そのときに大きな衝撃がかかっていて、全ての色のグラフが画面を飛び出しているのが分かります。

 

phyphoxで取得した加速度データ

 

机に置いたスマホを持ち上げて椅子に落下させたときの加速度の変化

 

2つ目は、自分のスマホで位置情報のデータを取得し、それを地図化するという授業です。スマホの位置情報機能を使い、一定の時間ごとの自分のいた場所を記録します。このデータをパソコンに取り出して繋いでいき、その軌跡を地図上に表すということです。先程と同様に「phyphox」というスマホアプリを使って、キャンパス内を自由に移動した自分の動きのデータをとり、それを「QGIS」というパソコンソフトを使って、移動の軌跡を地図化します。
こちらは、実際にキャンパス内を移動した軌跡の地図です。屋内から屋外へ出た直後や立ち止まった前後はうまく現在位置が計測できていませんが、キャンパス内を北(地図の上)や東(右)に往復していることが読み取れます。スマホが現在位置を把握していることで、地図アプリで現在位置が自動的にズームされたり、近くのお店の検索ができたりするようになっています。このように、スマホの位置情報の機能は、私たちの日常生活に深く関わっていることがわかります。

 

キャンパス内を移動した軌跡を地図上に表示

 

ここまで、私たちにはあまりなじみのない、難しそうなアプリやソフトの名前を出してきましたが、実際の授業の中では、これらの使い方が一つ一つとても丁寧に説明されます。パソコン室に収まる少人数で行う授業であるため、質問にも一人一人対応できます。コンピュータに関する専門的な用語はそこまで多くなく、卒論での調査分析や就職後にパソコンを扱う際などに役立ちそうな知識をつけることができます。文系で数学が苦手という方でも気軽に取り組める授業ですので、少しでも興味を持った方はぜひ自分でデータを取って分析するということに挑戦してみて下さい。

(現代教養学科3年 瀬野)