見山ゼミでは、前期に「Z世代と広告」をテーマに研究を行いました。2024年10月2日(水)に公益社団法人日本アドバタイザーズ協会にお伺いし、研究成果の発表を行い、大変貴重なフィードバックをいただきました。今回は研究の経緯から発表内容、当日の発表に関する報告をさせていただきます。
1,発表に至るまでの経緯
見山ゼミのメンバー全員が受講した見山先生の「広告文化論」の授業で、公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会(JAA)の中島専務理事から広告業界の現状についてお話を伺う機会がありました。長年広告業界に携わってこられた中島さんから、広告業界の現状や直面している課題、将来の展望を具体的にお話いただき、私たち大学生としても大変興味深く感じました。この授業をきっかけに、前期のゼミで「Z世代と広告」についての研究を行うことになりました。研究が進む中、見山先生の「ソーシャル・イノベーション」の授業内で学生発表の機会をいただき、研究内容の中間発表を行い、授業を受けている他の学生からも様々な意見を取り入れることで、より多様な視点を得ることができました。その結果、私たちが普段感じている広告への印象や、大学生目線での広告業界への意見をより具体的にまとめることが出来、日本アドバタイザーズ協会の皆さんに研究成果の発表を行うことが出来ました。
2,「Z世代と広告」に関する研究内容
第1章 :Z世代の定義づけ
Z世代とは1990年代半ばから2010年頃までに生まれた人を指すため、2003年生まれの私たちもZ世代に含まれます。しかし、当初は自分達がZ世代に該当しているという自覚がありませんでした。参考文献を読み、ゼミ内でディスカッションをしていく中で、世間のZ世代のイメージと私たちの感覚の違いがあることに気づき、見山ゼミ生で改めてZ世代の定義を以下の通り設定しました。
第2章:広告に対する私たちの矛盾
私たちは、広告に興味を持ち研究を行っているはずですが、実生活の中では広告自体に対して邪魔だと感じてしまっています。 その例として、YouTube等で、広告をスキップしたり、広告を消すための課金までして広告を表示させない行動を取っています。
なぜこのような矛盾した行動を取ってしまうのか議論を重ねた結果、私たちは広告を「好きか、嫌いか」ではなく「好きか、不快か」で捉えているということが分かりました。 具体的には、好きな広告は商品を前面に出さない広告や、好きなタレントが出ている広告、プラスの印象が残る広告が挙げられた一方、嫌いな広告は内容の善し悪しではなく、コンテンツを見ている最中に遮られたり、早くコンテンツをみたいのに飛ばすことが出来ない強制感のある広告が挙げられました。
第3章:Z世代の情報行動の分析
Z世代はSNSを駆使し、発信ばかりしているイメージがあるかもしれませんが、実際は「情報収集量」の方が圧倒的に多いです。実際にゼミ内と授業内でアンケート調査を行った結果、「情報収集」と「情報発信」の割合は「8:2」で圧倒的に情報の受信が多いことが分かりました。好きなものや興味のあるものしか見ない人が多く、フィルターバブルの時代だからこそ、受信する情報には広さを求めず、深さを求める傾向にあると言えます。
また、Z世代は1つのSNSで複数のアカウント(裏アカ)を保有しています。TBSニュースの調査によれば、「日本」「アメリカ」「韓国」「中国」の4ヶ国の中で「日本」は複数アカウントを保有する高校生の割合は54.2%と最も高く、過半数の高校生が「裏アカ」を持っているという結果でした。実際に、見山ゼミ生のSNS利用を分析すると「メイン」「サブ」「連絡先交換用」「推し活用」「情報収集用」など様々な用途でアカウントを使い分けていることがわかりました。
第4章 :Z世代に響く広告とは
広告は好きだけど時々不快に感じることがある、と私たちは現状を結論づけました。
この結論からZ世代に響く広告を作るための議題ポイントを①タイミング、②距離感、③情報の深さの3つに整理しました。
3,研究成果の発表とフィードバックの内容
2024年10月2日(水)に日本アドバタイザーズ協会に訪問し、スライドを投影しながら「Z世代と広告」についての研究成果の発表を行いました。
広告に精通されている方々に対する発表はとても緊張しましたが、何度も練習を重ねたおかげで、当日は落ち着いて発表することができました。
発表を終えた後、日本アドバタイザーズ協会の皆さまから貴重なフィードバックをいただくことが出来ました。
広告への感情を「好き」と「嫌い」ではなく「好き」と「不快」に設定した理由や、広告業界に興味があるけれど、「広告」に対して邪魔だと思うことがある理由などをもっと具体的な話に落とし込むことで、より分かりやすい発表内容になるのではないかというアドバイスを受けました。さらに、広告を「不快」と感じるのならば、その理由や具体例などを多く取り上げ、それを類型化し、分析を行うことで現代の広告が抱える課題やZ世代に刺さる広告作りの道筋が見えてくるのではないかというフィードバックもいただきました。そして、今回の研究テーマ自体は企業の広報担当者や、広告・制作会社も特に気になる内容だと思うので、さらに研究を重ね、バージョンアップしたものを発表出来れば良いというお言葉もいただきました。今回の研究発表全般に対しては、実際のZ世代の意見やデータを表などで反映している点を評価していただくことが出来ました。
今後のゼミ活動では更に「Z世代と広告」についての研究を深め、より多くのデータを収集、分析することにより、より解像度の高い内容を目指して行きたいと思っています。
4,研究発表を終えての感想
(高野七菜子)発表を通じて、広告業界に対する大学生の視点や意見を社会や業界の第一線で活躍する方々に伝える機会を得たことは、とても意味のある経験だったと思います。この発表から新たな活動へ繋げることができたのが、発表の準備をした意味があると感じました。
(福本美尋)発表してみて広告業界を支えている方々に広告のあり方について思っていることを伝えるのがすごく良い学びになりました。学生目線だけでしか考えられていなかった側面を企業サイドの目線からのフィードバックをいただくことで、より成長に繋がったと思います。そして発表する上で、言葉一つ一つが重要だと学びました。単語に対する対義語や、類義語等細かい部分も発表では見られ、追求されるということを感じ、今後の成長に活かしていきたいと思いました。
(五十嵐愛莉) Z世代が広告やSNSとどのように関わっているかを改めて考える良い機会になりました。SNSの利用方法も個人個人違いながらも似通った部分があり新鮮に感じました。また普段何気なく見ている広告も「なぜ好きなのか?」を突き詰める作業は難しいと感じました。
(大山響)今回の発表を通じて、自分が広告に対してどのような考えを持っているのかを改めて見つめ直す良い機会となりました。また、私自身が広告業界での今後の活躍を目指す上で、より多くのデータを収集・活用することで、研究の内容がさらに深まり、企業にとっても有益な情報を提供できるという示唆を、フィードバックを通じて得ることができました。加えて、今後の研究の進め方に関する具体的なヒントもいただけたため、大変有意義な経験となりました。
(前田恵那)私たちZ世代が考える「広告」に対するイメージを、実際に広告業界で制作に携わっている方々と意見交換できたことが大変貴重な経験となりました。今回、広告について分析したことで自分たちと広告の関係を再認識し、情報の発信力よりも収集力に重点を置いていることが改めてわかりました。広告業界の現状を知ることができたため、今後の広告に対する価値観も変化したと考えます。
5,今後の研究について
今回の研究発表に対し、ご指摘いただいたフィードバックを元に、「不快な広告とは何か?」について、更に具体例を通して深く考えていきたいと思っています。
また、後期は日本アドバタイザーズ協会さんとの更なるディスカッションや連携も予定されており、今回の貴重な経験をもとに、より良い広告づくりについて学んで行きたいと思います。
以 上