【ワークショップ技法】コーセーさんとワークショップ型の特別授業を実施

こんにちは!
現代教養学科3年の前田恵那、長橋未桜です。

12月20日(金)に私たちが履修している「ワークショップ技法(担当:見山謙一郎教授)」で、株式会社コーセー 執行役員 美容開発部部長の小宮千英さんと、 美容開発部トレンド戦略課の丹羽めぐみさんに特別授業をしていただきました。

コーセーといえば、化粧品などの「モノづくり」を想像すると思います。しかし、美容開発部では新たな美容価値の提案といった「コトづくり」を行っているのです。例えば、ビューティやファッション、政治経済など様々な領域からのトレンド分析や全国に3,000人以上いるビューティコンサルタントの教育を行っています。

授業にさきがけ、小宮さんがご自身のキャリアについて、お話くださいました。

小宮さんの特別授業

小宮さんは、はじめは「好きなことは趣味としておいておきたかった」と考え、化粧品とは関わりのないお仕事をされていたそうです。その後専業主婦を経て、メイクや色などの資格を取得し、現在は株式会社コーセー 執行役員美容開発部部長でいらっしゃいます。
お話の中で、「たくさん失敗をしても、そこから何かをつかんで立ち上がってください。人生に正解はありません。後から正解だったと思うように生きていくしかないんです。」、「計画を立てることもいいけれど、目の前にあることに一生懸命に取り組むこと。」というアドバイスをいただき、現在就職活動や進路を決める時期の私たちにとって大変勉強になりました。

多様性や高齢化が進む社会の中で、コーセーでは「Vision for Lifelong Beauty Partner」をビジョンに掲げ、性別・年代問わず「きれいになりたいすべての人」に多様な「美」を提供しています。化粧品販売においては、「コンプレックスを隠すためのメイク」から「お客様のチャームポイントを活かすためのメイク」というイメージに変え、化粧品を通して「夢」や「希望」を持っていただく。化粧品を良い体験と結びつけられるような接客を心掛けているとお話いただきました。

トレンド戦略課では、「ファッション」「ビューティ」「ライフスタイル」「SDGs」「海外」など、世の中や社会で起きていることから未来のトレンドを予測しています。中でも特に、「ジェンダーレス・メンズビューティ」「アルファ世代」「フェムケア」といったことに注目し、企業やブランドに必要な取り組みを社内で提案しています。

今回の講義テーマはその1つである「フェムケア」についてでした。
みなさんは「フェムケア(フェムテック)」という言葉を聞いたことがありますか?
私たち学生は、ほとんどが「フェムケア」について「聞いたことがない」「意識したことがない」という回答でした。実際に、一般消費者も、フェムテックについてほとんどの人が知らない、ということが分かっているそうです。

コーセーさんとのディスカッション(1)
コーセーさんとのディスカッション(2)

「フェムケア(フェムテック)」とは一般的に、「女性の健康をケア、健康課題を解決する製品やサービス」という意味で使われ、「女性の様々な心身の悩みをケアするもの=フェムケア」という、広い概念として捉えられるようになってきています。しかし、人には言いにくい、自分でも気づいていない、心や身体に関わる悩みを秘めた領域でもあるのです。
多くの女性が「生理」「PMS(月経前症候群)」「妊娠」「更年期」など女性ならではの健康に関する悩みを抱えており、その中の多数の女性が「悩みを解決したい」という想いがあります。
「フェムケア」は、お客様の「きれい」に深く関わっており、このような「きれい」の妨げとなるような悩みを少しでも取り除くために、解決につながるモノ・コトを生み出すことで、女性のお客様の「きれい」を実現させるお手伝いとなります。これこそが、コーセーが「フェムケア」に注目している理由であると考えました。

海外では、経血により健康状態を把握するキットや帝王切開の傷跡の回復を促進するデバイスなど様々なフェムケアグッズが登場しています。生理中や産後の悩みだけではなく、妊活や妊娠、更年期といった一人一人の悩みを細分化し、それぞれの悩みに着目した製品が作られています。
日本でも、企業や雑誌、インフルエンサーの発信により、フェムケアの浸透を進めています。ユニクロの吸水サニタリーショーツやオイテル(OITR)という商業施設、オフィス、学校、公共施設などのトイレで生理用ナプキンを無料で提供するサービスなど、「フェムケア」を意識した取り組みが日常に浸透していることを感じました。

授業の最後には、フェムケア商品を扱っている「アットコスメ トーキョー」とフェムケアという言葉が日本で知られる前からフェムケア商品を取り扱っている「伊勢丹新宿店 ビューティアポセカリー」で扱っているそれぞれの商品を実際に手に取り、体験しました!

実際にフェムケア商品を体験

「アットコスメ」で取り扱っている商品は、今まで見たことはあっても買ったことがない商品や何気なく買っていた商品もフェムケアに繋がっていることに気づかされました。
「伊勢丹ビューティアポセカリー」の商品は、人々が感じる悩みを解決することはもちろん、環境にも配慮されて作られている製品が多い印象でした。ボディーシートなど環境にやさしい素材で作られているため、災害時などにも罪悪感なく使用できる点が自分をケアすることはもちろん、周りの環境にも配慮できるところがいいなと思いました。
実際にフェムケアの商品を見てみて、見たことがある商品や使ったことのある商品を前にすると、自分が意識している以上に日常の中にフェムケアが浸透していることを感じました。

【授業を受けた感想】学生より
私ははじめ「フェムケア」という言葉を知らなかったのですが、授業を通して女性の悩みを解決する商品やサービスが日本にも世界にも多く溢れていることに驚きました。
また、女性の悩みを解決するフェムケア商品を実際に見て「同じ悩みを抱えているのは私だけではない」と気づかされたと同時に、女性の悩みを解決するために多くの商品やサービスが増え続けていることが心強いなと感じました。
1人1人の悩みに耳を傾けてこそ生まれるフェムケアの商品・サービスが今後も社会に広く浸透し、1人でも多くの女性の悩みを解決できたらといいなと思います。(長橋)

私も「フェムケア」についてほとんど知りませんでしたが、授業後に改めて振り返ると、「インフルエンサーによるSNSでの発信」や「雑誌の特集記事」など、多くのメディア媒体で「フェムケア」の情報を目にする機会が増えていると感じました。それだけでなく、店頭で販売されているフェムケア商品も店内の様々な場所で展開されており、商品のパッケージや機能面からも手に取りやすい商品が多くありました。このように、「フェムケア」は多くの場所で広まり、女性の「きれい」に寄り添う存在となっています。
今後、化粧品コーナーに行った際はフェムケア商品を意識して探してみたいと思いました。(前田)

【授業をおこなっての感想】 コーセーさんより
現代教養学科の皆様と一緒に、「フェムケア」について理解を深め、考える機会をいただけたことを、非常に嬉しく思っています。今回の授業を通して、生理といった身近な悩みから、妊娠や更年期など未来のこと、そしてジェンダーに関する課題など、幅広いモノ・コトについて、学生の皆様が深く議論されており、私たちも大変勉強になりました。
女性の心や身体を含めたケアをする「フェムケア」は、お客さまの「きれい」を叶えるために非常に重要である一方、私たちも含めてまだまだ知らないこと・言葉にできないことが多い領域です。だからこそ、今後も皆様と一緒に理解を深め、考えていくことが大切だと感じています。
今後のワークショップでも、皆様が自由でユニークなアイデアを出してくださることを期待しています!