【現代社会と社会学】という授業では、学校、教育、就活、キャリア、社会や日常のあれこれについて、自分ごととして捉えた上で、グループディスカッションを中心に議論を深めつつ、多角的な視点をもって、現代社会に対する「疑う力」と「惑わされない力」および社会学の基礎的・専門的知識と考え方を学生たちに学んでもらっています。
7月15日の授業では、ローレルゲート株式会社の代表取締役や企業研修講師として活躍されている守屋麻樹先生にお越しいただき、「スポーツとジェンダー」というテーマで講義を受けた後に、「性的マイノリティ選手(性分化疾患も含む)の観点からみるスポーツの課題」に関して熱いディスカッションとグループプレゼンテーションを行いました。以下、学生の受講後コメントを一部ご紹介しますね。
① 授業を通して、特に印象に残ったのは、性分化疾患を持つ選手に対する誤解と、それに起因するSNS上での誤情報の拡散だった。
② スポーツとジェンダーは公平性の担保のために適正な規格があるべきものではあるものの、そのために個人のアイデンティティをどのように扱うのかは非常に難しい問題であるように感じた。発表でも取り上げられていたが、問題提起をするにあたって不確実な情報に踊らされるだけでなく、正しい知識を得ること、間違った情報をいたずらに発信したり、誹謗中傷をしないことを心がけたりすることが個人個人に求められると強く感じた。
③ 今回いろいろ調べてみて、全てにおいて男女で分けなければならないのかと考えた。性別という区別は大事であるとはいえ、そこまで固執するのはなぜだろうと気になった。
④ スポーツのジェンダー問題について、選手が選手らしくあるためにも、解決すべき問題であるのは間違いないと思う。しかし、オリンピック自体が結果を重視する行事である以上、簡単には解決出来ないと思うし、場合によってはオリンピックの意義自体が無くなる・問われてしまうとも考えた。
⑤ 女性のスポーツ選手が増えてきたことは実感しているものの、女性監督やコーチの数が未だに非常に少ないことには考えも及ばなかった。今回の講義を通じて、スポーツ界においても私たちが一緒に再考しなければならないテーマについて新鮮な衝撃を受けることができた点が良かった。
⑥ スポーツとジェンダーの関係性に無縁だった私が、今回の講義でグループでジェンダーの課題や解決策、次のアメリカで行われるオリンピックなどのスポーツジェンダーついてに深く話し合うことによって多くの刺激を受ける良い機会になった。
⑦ 私は、オリンピックでは公平性を優先するべきだと考える。もちろん、性的マイノリティの方の人権を尊重することも大切であるものの、マイノリティを考慮しすぎてマジョリティが不利になってしまうのは本末転倒だと考えるからだ。多様な意見がある以上、このような問題は解決までに相当な時間がかかると思う。
⑧ 今回の講義とグループワークから、スポーツの世界にもジェンダー問題が如実に表れていることを実感した。特に、女性選手の報道のされ方や賞金額、LGBTQ選手の扱いなど想像以上に多くの課題が存在することを知り、とても衝撃を受けた。これらの課題には、「平等」と「公平」の違いが深く関わっていると感じる。スポーツの現場では、同じ機会を与える「平等」だけでは構造的な不利を抱える人々のニーズには応えられない場面が多いだろう。だからこそ、それぞれの背景や置かれた立場に応じた「公平」な配慮や支援が重要になってくるのではないかと思う。今回の学びを通して、制度や文化の中に潜むジェンダー不平等を見直し、包括的で多様性を尊重するスポーツのあり方を考えることの大切さに気づかされたと感じる。スポーツを通してジェンダーに対する固定観念が強化される場合もあると思うので、競技に誰もが安心して参加できるようにするためには、制度的な見直しと同時に私たち一人一人の意識改革が必要不可欠であると考えた。
記事:担当教員・シム