【国際社会調査研修 ソウル編(8)】研修3日目―仁川開港場探索&講師講演会

こんにちは!現代教養学科3年の高橋です。

研修の折り返し地点となる3日目(8月27日)は、仁川の開港場をガイドさんの案内で巡り、午後には実際に韓国で働いている日本人女性のお話を伺いました。

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仁川開港場を探索

午前中、明洞のホテルを出発し、バスで仁川の開港場エリアへ。移動中はガイドさんの説明を聞きながら、景福宮や独立門、漢江などソウルの名所を車窓から眺めることができました。

仁川は19世紀後半に開港した港町です。日本や中国をはじめ多くの国から文化や人が流れ込み、各国の「租界地(外国人居留地)」が形成されていきました。特に日本人租界地と中国人租界地は、道路を挟んで隣り合っていたのが特徴的で、今もその面影が色濃く残っています(写真:中央の道路の右側が日本人租界地、左側が中国人租界地となっていました)。

私たちはまず、日本人租界地エリアを探索しました。かつての銀行建築や商館が立ち並ぶ通りを歩きながら、当時の雰囲気を感じることができました。

多くの建物が当時の外観を保ったまま保存されており、旧日本第一銀行 仁川支店(写真左上)は現在「仁川開港博物館」として、旧日本第十八銀行 仁川支店(写真右上)は「仁川開港場近代建築展示館」として残っています。

今回は「仁川開港博物館」の内部を見学しました。韓国の郵便制度や鉄道、税関(海関)の歴史が、写真パネルや実物資料を通じて分かりやすく紹介されており、展示の内容はとても充実していました。

中でも興味深かったのは、韓国初の鉄道「京仁線」の開通を伝える展示です。実際に使われていた信号機や電灯、鉄道のミニチュア模型なども間近で見ることができ、当時の様子がリアルに想像できました。翻訳アプリを使いながらでも十分に理解できる内容だったのも嬉しいポイントです。

展示室をさらに奥へと進むと、19世紀末から20世紀初頭にかけての仁川の様子が、立体絵や当時の写真を通して再現されていました。特に印象に残ったのは、元銀行の金庫室部分を活かした展示スペース。ここでは日本第一銀行仁川支店の歴史が詳しく紹介されており、部屋の中央には仁川支店の精密なミニチュア模型が展示されていました。
模型を囲みながら、「この部分が、今いるここじゃない?」と現地と照らし合わせてみる瞬間は、小さな発見があってとても楽しかったです。

続いて訪れたのは、中国人租界地エリア、現在の中華街です。建物のデザインや街灯の形、通りに置かれた装飾品に至るまで、それまで歩いていた日本人租界地や韓国の街並みとはまったく異なり、異国情緒たっぷりの雰囲気がとても印象的でした。

中でも有名なのが、「共和春(コンファチュン)」という中華料理店。ここはチャジャンミョン発祥の地とされており、かつて営業していた建物は現在「チャジャンミョン博物館」として公開されているそうです。
昼食は自由行動だったので、私たちの班は共和春の本店へ行きました。名物のチャジャンミョンをいただきましたが、コクのある味わいでとても美味しく、大満足の一品でした。

異なる文化の名残を感じられる街並みを歩きながら、仁川開港場の歴史と今を体感できる、充実した散策でした。

外部講師の方による講演会

仁川の街を歩いたあとは、現在韓国で暮らしている日本人女性お二人のお話を伺いました。
韓国に住むことになった経緯や現在のお仕事、日々の暮らしについてお一人ずつお話しくださり、その後は質疑応答の時間も設けられました。

質疑応答では、
・韓国へ移住を決めた理由
・日本語教師としての働き方や需要について
・今後、日本に帰るという選択肢はあるのか
・やっておいてよかったこと、やっておけばよかったこと
など、さまざまな角度からの質問が飛び交い、予定時間ぎりぎりまで活発なやり取りが続きました。

印象的だったのは、お二人が共通して伝えていた前向きな姿勢です。
「弱いつながりでも強いつながりでも、何がどう自分の人生に影響するかは分からない」
「少しでも興味があることがあれば、やってみることが大事。“数打ちゃ当たる”の精神で可能性があるなら挑戦してみることが大切」
という言葉には、自分の直感や行動力を信じてきた実体験に裏打ちされた重みがあり、心に残りました。

自分には関係ないと思っていたような小さな出会いや、なんとなく気になっていたことが、人生のターニングポイントになることもある。
そう考えると、普段のちょっとした選択や興味をないがしろにせず、大事にしていきたいと思いました。

研修3日目は、歴史ある街並みを歩き、現地で暮らす日本人女性たちのリアルな声に耳を傾けることで、過去と現在、そして人とのつながりについて考える貴重な研修の時間となりました。

記事:3年 高橋怜愛