みなさん、こんにちは。現代教養学科2年の春口、滝沢、藤原です。
後期の試験やレポート提出、そして今年度から始まった学科の新しいイベント「THE CLA AWARDS」も終わり、いよいよ待ちに待った春休みがやってきました!今回は後期に私たちが受講した、現代教養学科の「情報環境論」(担当:相 尚寿准教授) という授業を紹介します!
「情報環境論」では、客観的なデータをもとに、私たちが暮らす都市や生活空間への理解を深めることをテーマにしています。
この授業では、特に場所と紐づいた「空間データ」に着目します。人口や農業などの統計データ、災害や気象に関する情報など、実は身近にある「空間の情報」を可視化して、地域の特徴や課題を読み解く術を学びます。そのために、地理情報分析支援システム「MANDARA」というソフトを活用します。自分たちの身近な疑問や気づきを、どのようなデータを使えば客観的に表現できるかを考え、実際に地図としてアウトプットする作業に挑戦します。
授業の最後には、作成した地図を使って一人ずつプレゼンテーションを行います。自分の調べた情報を他人に伝える力が身につくだけでなく、他の学生の発表を聞くことで、自分が知らなかった地域の特徴や課題を新しく知るきっかけにもなります。
学生はそれぞれ身近な疑問からテーマを設定しており、作成した二つの地図を見比べることで地域差を読み解いたり、意外な相関を見つけ出したりと、どの発表も非常に興味深いものでした。
実際にみんなの発表を聞いてみると、私たちの日常のあらゆるところに探究のヒントが落ちているのだと実感しました。一人ひとりの視点が異なるように、分析方法もそれぞれ個性が光っており、多くの新たな発見がある刺激的な場となりました。
以下では、本授業での成果の一例として、滝沢による発表内容をご紹介します。
近年、若年層の運動不足が社会問題となっています。その中で私は、若者がスポーツを楽しめる環境が地域によってどのくらい異なるのかに興味を持ち、「都道府県別の若年人口(0〜14歳)」と「スポーツ施設数」のデータを用いて、都市部と地方部の両面から分析を行いました。これらのデータは、政府統計の総合窓口である「e-Stat 統計ダッシュボード」より収集し、2025年1月時点の最新情報を参照しています。
まず、MANDARAを使って2つのデータを地図化しました。
若年人口分布マップ:東京や神奈川などの大都市圏に人口が集中していることがわかります。
スポーツ施設数分布マップ:施設数も人口の多さに比例して関東圏に多く、そのほかに面積の広い北海道で多くなっています。
地図を見比べると、人口が多い地域で施設が多いように見えます。そこで、Excelで相関分析を行うと、相関係数は 0.65 となりました。これは、「人口(需要)が多い場所に施設(供給)が作られている」という、一見すると非常に合理的な整備状況を示しています。
しかし、ここで視点を変え、「若者1,000人あたりの施設充実度」を算出してみると、驚くべき結果が出ました。
都市部(東京・神奈川・大阪)などは施設総数は多いものの、人口が多すぎるため、一人あたりの充実度は全国最低水準に。
地方部(秋田・長野・鳥取)などは人口に対する施設のキャパシティが大きく、一人あたりの充実度は極めて高い数値に。
これらの分析から、単なる「施設数」の多さだけでは、本当の意味でのスポーツ環境の良し悪しは判断できないことがわかりました。都市部では、施設の絶対数以上に利用が集中しやすく、実質的な利便性やアクセスのしやすさには課題が残ると考えられます。若者の運動不足解消のためには、単に施設を増やすだけでなく、都市部における「一人あたりの利用可能枠」をどう拡大するかという視点が必要なのではないかと考察しました。
本授業を通して、データの可視化がいかに重要であるかを実感しました。
特に、「MANDARA」ソフトの実習では、初めて使うソフトなので操作に戸惑うこともありましたが、手を動かすことで、統計データを地図という形で可視化するという手法を習得することができました。単なる数字の羅列として見ていた情報も、地図として可視化されることで、地域ごとの特性や課題が一目で分かることが、新鮮な感覚でした。
また、この作業を通して、「情報を客観的に読み取る力」が身についたと感じています。自分の思い込みで判断せず、数字の裏側にある背景を探ることで、自分だけでなく、周囲の人にも「なるほど」と納得してもらえるような、根拠のある説明ができる自信がつきました。データを正確に読み解くことは、自分の意見に説得力を持たせ、周囲からの信頼を得るためにも不可欠だと実感しました。
今後は、この「データを読み解く力」を自分の中だけで終わらせず、周囲と情報を共有し、合意を形成していくためのツールとして使いこなせるよう努めていきたいです。