現代教養学科には、国内外のフィールド設定し、その地域の歴史や文化、可能性や課題を1年という時間をかけて深く探求する「フィールド リサーチ研修」という実習プログラムがあります。
今年度は、山陰地方(鳥取県、島根県)を研究フィールドに設定し、「コンテンツ・ツーリズムから、ストーリー・ツーリズムへ~山陰のHistoryと、観光のStoryを紡ぐ、ストーリー・ツーリズム提案」というテーマで取り組んでいます。具体的には、ゲゲゲの鬼太郎で有名な鳥取県境港市出身の漫画家水木しげるが描いた妖怪、NHKの朝ドラ「ばけばけ」の舞台となった島根県松江市の小泉八雲の怪談、そして縁結びの神様として知られる出雲大社(出雲神話)との繋がりを学生の視点から描くことを目指しています。現在、14名の学生が、境港チーム、松江チーム、出雲チームに分かれて、各地域のHistoryの探求を進め、3つの地域のStory的な繋がりを探求しています。
前期の授業で実施した文献調査を踏まえ、9月9日(水)から11日(金)に二泊三日で現地視察を行いました。本学科ブログでは、その様子を6回シリーズでご紹介します。
みなさん、こんにちは。現代教養学科3年、境港チームの八代です。
今回は、現地訪問9月9日(水)の様子を紹介します。
1日目は、羽田空港から鳥取県にある米子鬼太郎空港に移動し、境港市の大魚市場なかうらで昼食をとった後、米子市の中海テレビ放送、米子北高校を訪れました。
中海テレビ放送さん訪問
境港市の大魚市場なかうらで昼食後まず訪れたのは、中海テレビ放送です。メディア創造本部本部長の野坂さんから地域メディアの取り組みなど、貴重なお話を伺い、社員の方々とも意見を交換させていただきました。その後、今年2月に完成した新社屋も見学させていただきました。
見学する前の私は、テレビ局というと、多くの人がニュースや番組を制作し、それを放送する場所というイメージを持っていました。しかし、実際にお話を伺ってみると、中海テレビ放送は単に番組を制作・放送する「テレビ局」ではなく、地域の暮らしを支えるさまざまな役割を担っていることを知りました。
中海テレビ放送は、地域にケーブルを張り、地域の人々を視聴者として、地域の出来事や情報を取材し、地域に向けて発信しています。全国的なニュースを届けるだけではなく、その地域で暮らす人たちが本当に必要としている情報を届けることを大切にしているそうです。
特に印象に残ったのは、自主制作番組に鳥取県や地域に関係する内容が多く取り上げられていることです。地域で起きている出来事や、身近な話題を取り上げることで、地域の人々が普段から興味を持って見ることができるよう工夫されていました。
全国のテレビ局では取り上げられにくいような、地域の小さな出来事や身近な情報を届けられるのは、地域に密接に関わっているケーブルテレビだからこそできることだと思います。地域の人々が欲しい情報を、自分たちの手で取材して届ける。その姿勢から、中海テレビ放送が地域に深く根付いていることを感じました。
また、最近放送された生放送のクイズ番組や、お正月に行われたビンゴ大会など、家族みんなで楽しめる番組があることも知りました。
テレビというと「情報を受け取るもの」というイメージがありますが、こうした番組では視聴者も参加し、一緒に楽しむことができます。ニュースを伝えるだけでなく、テレビを通して地域の人々がつながり、地域全体を盛り上げる役割も担っていることに驚きました。
さらに、中海テレビ放送には自主制作番組だけでなく、地域の行事やイベント情報、気象情報、災害情報などを伝える生活情報チャンネルもあります。まちのライブカメラを通して地域の様子を伝えたり、警報が発令されたときや災害が起きたときには、防災情報を詳しく伝えたりしているそうです。
こうした取り組みを知り、中海テレビ放送は地域の「情報インフラ」として大きな役割を果たしているのだと感じました。
特に、高齢者の方などにとって、テレビ一つで地域のイベントや生活に必要な情報、さらには災害時の情報まで得られることは、とても便利で安心できることだと思います。
そして、今回特に驚いたのは、中海テレビ放送がテレビ放送だけを行っている会社ではないということです。通信や電力など、地域の暮らしに関わるさまざまな事業にも取り組んでいることを知りました。
「テレビを見るための会社」というよりも、地域に必要なサービスを幅広く提供し、さまざまな面から人々の生活を支えている会社なのだと感じました。
地域の人々が何を必要としているのかを考え、それに合わせて事業を広げていく。そこには、地域とともに歩み、地域に必要とされる存在であり続けようとする姿勢があるのだと思います。
今回の見学を通して、中海テレビ放送が担っているメディアの役割についても考えることができました。中海テレビ放送は、ただニュースや番組を届けるだけのものではありません。地域で何が起きているのかを伝え、人と人をつなぎ、地域を盛り上げ、災害時には人々の安全を支える。そして、情報を届けるための通信などのインフラも、これからの社会には欠かせないものです。
そう考えると、中海テレビ放送は「メディアの原点」でありながら、「メディアの未来」を示している存在なのではないかと思いました。
普段何気なく見ているテレビの裏側には、人々の生活を支えるためのさまざまな工夫や努力があることを知ることができました。そして今回の経験を通して、自分が住んでいる地域についても、これまで以上に目を向けてみたいと思うようになりました。
貴重なお話を聞かせてくださった野坂本部長をはじめ、社員の皆様、本当にありがとうございました。
米子北高校の生徒さんとのワークショップ
中海テレビ放送の見学を終え、次に向かったのは米子北高校です。
中海テレビ放送からバスに乗って約10分。米子北高校に到着し、大学生2~3人と高校生2~3人のグループに分かれて、将来についての意見交換を行いました。
今回のテーマは、「将来の自分の夢を語り合おう!~10年後、20年後の自分は想像できる?出来なくてもOK!~」です。
大人は若者に「将来の夢を持とう」「将来の夢を語ろう」と簡単に言いますが、そもそも「将来」とはいつのことなのでしょうか。私自身、高校生の頃、面談で担任の先生から「将来の夢は何?」と何度も聞かれ、答えに困ったことを思い出しました。決して将来を悲観していたわけではありません。ただ、今の自分から10年後、20年後を考えたとき、「きっと今とは違う自分になっているだろう」と思い、具体的な姿を想像することができなかったのです。
そんな経験もあったので、今回のテーマはとても興味深いものでした。今回は“スーパーポジティブ”になって、将来の自分に期待しながら、それぞれの夢を語り合いました。
まずは自己紹介とアイスブレイクから行いました。「将来の夢」という少し真面目なテーマだったので、最初は緊張するのかなと思っていましたが、実際にはとても和やかな雰囲気でスタートしました。アイスブレイクでは、それぞれのMBTIや推しについて紹介しました。「同じMBTIだった!」という意外な共通点が見つかったり、「どういうところが好きなの?」と質問が飛び交ったり。最初は少し距離があった高校生と大学生も、好きなものや共通点をきっかけに、少しずつ会話が弾んでいきました。
場が温まったところで、いよいよ本題です。
今回のプログラムでは、
●What? 自分の夢を語る
●Why? 自分の夢を深掘る
●How? 今から何をする?
という順番で、自分の将来について考えていきました。
私のグループでは、最初の段階では、高校生のほうが明確な将来の夢を持っているように感じました。一方で、大学生から出てきた夢は、「こんなことがしたい」「こんなふうになりたい」という、少し抽象的なものが多かったように思います。
しかし、お互いに「どうしてそう思ったの?」「それをするためには何が必要?」と質問し合いながら夢を深掘りしていくと、最初はぼんやりしていた大学生の夢からも、少しずつ具体的な将来像が見えてきました。
話しているうちに、自分でも気づいていなかった「本当はこんなことがしたいのかもしれない」という思いが見つかることもありました。
今回、高校生と大学生で一緒に話をしてみて感じたのは、将来の夢は、最初から明確である必要はないのかもしれないということです。
誰かに質問してもらったり、自分の考えを言葉にしたりすることで、少しずつ「自分は何がしたいのか」が見えてくることがあります。
10年後、20年後の自分を想像することは、簡単なことではありません。
でも、「今の自分とは違う何かをしているかもしれない」と考えると、少しワクワクもします。
今回の交流では、高校生からも大学生からも、それぞれの考えや価値観を聞くことができました。普段なかなか話す機会のない世代同士だからこそ、新しい発見もたくさんあったように思います。
「将来の夢を考える」ということは、未来を完璧に決めることではなく、これから自分がどんなことを大切にして生きていきたいのかを考えることなのかもしれません。
今回の米子北高校での交流を通して、私自身も改めて自分のこれからについて考えるきっかけをもらいました。
そして何より、高校生の皆さんと一緒に笑いながら、未来について語り合えたことがとても楽しかったです!
今回、米子北高校で行った意見交換の様子は、中海テレビ放送で公開されています!
実際にどんな雰囲気で話し合っていたのか、ぜひ動画でもご覧ください!
(https://news.yahoo.co.jp/articles/40fd5fa13da4b07c2ca844a2f4e16f6fd72c7694)
そして今回一緒に参加してくださった米子北高校の皆さん、ありがとうございました。
中海テレビ放送 メディア創造本部長 野坂さんからのメッセージ
先日は弊社への訪問、社内見学にご参加いただき、誠にありがとうございました。
私たちが日頃から最も大切にしている「地域メディアとしての姿勢」や「地域の暮らしを支えるインフラとしての役割」について、ここまで深く理解いただき、ご自身の言葉で整理して発信してくださったことに、スタッフ一同大変感動しています。
「自分が住んでいる地域について、これまで以上に目を向けてみたいと思うようになった」という言葉は、地域メディアに携わる私たちにとって最も冥利に尽きるお言葉です。
今回の見学と対話が、みなさんの今後の学びや視野を広げる一助となっていれば幸いです。
皆様の今後の学生生活、そして豊かな学びを心より応援しております。
米子北高校 井塚先生からのメッセージ
昭和女子大学の皆様、米子北高等学校へお越しいただきありがとうございます。
明るく前向きな姿勢で将来を語る方、まだ自分の道を模索中の方、将来に自信が持てず踏み出せないでいる方、各々の背景はどうあれ目の前にある課題に必死で向き合う皆さんが美しく輝いて見えました。
さて皆さんにとって高校生はどのように映ったでしょうか。自身の高校時代に重なる方も多かったのではないでしょうか。会の中で人生は「収束」と「発散」を繰り返すという話をしました。大学進学や就職を目前にし「収束」に向かいつつある高校生と次のステージで可能性を広げ「発散」を迎えた皆さんの、将来に対する捉え方が少し対照的に映ったのではないでしょうか。私は「学」の語源にある「真似ぶ」のように、人から見聞きしたことがいつか自分の身となり骨となると考えます。高校生と語り合った時間もきっと皆さんの人生の一部になると確信しております。高校生もしかり。ここ山陰で見たもの、感じたものが、皆さんの人生にとってのストーリー・ツーリズムなっていただければ幸いです。
皆様の今後の活躍を期待しております。
サムネイル写真:大漁市場なかうら「がいな鬼太郎」 Ⓒ水木プロ
【授業紹介】フィールド リサーチ研修 in 山陰(2)~鳥取県境港市編につづく