こんにちは、3年見山ゼミのゼミ長の松尾のどかと、副ゼミ長の飯泉里凰、上村郁乃です。
私たち3年見山ゼミでは、博報堂メディア環境研究所(メ環研)さんと連携し、Z世代の情報行動分析を行っています。情報行動について、私たちは、タイムラインに流れてきた情報を取捨選択し、次の行動につながるものを「情報行動あり」、つながらないものを「情報行動なし」と定義し研究を進めています。
このブログでは、今回は、前期の私たちのゼミ活動と、7月22日に実施した中間プレゼン、そして9月14日に博報堂さんの本社にお伺いし実施した前期の研究成果のプレゼン&意見交換会についてお伝えします。
今回の前編では、7月22日に実施した中間プレゼンについてお伝えします。
前期の活動
前期の見山ゼミでは、私たちが普段どのように情報に触れ、そこからどのような行動をしているのかを知り、Z世代にどう情報を届けられるかを考えるために、自分たちの「朝・昼・晩」の情報行動を記録し、深掘りしました。
今回の自分たちの情報行動の客観的観察では、それぞれの時間帯について、いつ、どのくらいの時間、どのメディアに触れたのか、なぜその情報を見ようと思ったのか、そして実際にはどのような情報を偶然目にしたのかを記録しました。
「朝・昼・晩」で変わる情報行動
まず朝は、情報に触れることが習慣になっていると分かりました。
起きてからLINEやメールを確認したり、天気を調べたり、課題を確認したりと、その日を始めるために必要な情報を見ることが多くありました。一方で、InstagramやSafariなどを気づいたら開いていたという記録もあり、自分では見ようと思って見ているつもりでも、実際には習慣や手癖で行動していることが多いと気づきました。また、朝の準備中にはNetflixやテレビをつけていることもありました。しかし、必ずしも内容を集中して見ているわけではなく、無音が寂しい、音があると安心するといった理由で流していることもあります。テレビからニュースやCMが流れていても、ほとんど記憶に残っていないことがあり、情報を目にしたり耳にしたりすることと、実際に情報として受け取ることは必ずしも同じではないと感じました。
昼は、授業や友人との会話があるため、朝や夜に比べて情報に触れる時間が少なくなりました。その一方で、授業の合間や移動時間など、ちょっとした空き時間になると自然とXやInstagramを開いていました。
この時間帯は、特に目的がなく、暇だから見るという行動も多く、エンタメやグルメ、美容など、自分の興味に近い情報を見ることが多かったです。しかし、ただ受け身で見ているだけというわけでもありませんでした。何気なく見ていた投稿に興味を持ち、いいねや保存をしたり、後から自分で検索したりすることがあります。また、友人との会話で出てきた話題を、後から自分で調べることもありました。SNSや会話で偶然触れた情報をきっかけに、自分から調べるという、受動的な情報接触から能動的な行動へと移っていく流れがあると分かりました。
夜になると、情報行動はさらに自由になりました。
YouTubeやTikTok、X、Netflixなど、その日の気分や興味に合わせて、自分の好きな情報を選ぶことが増えます。服やコスメなど、調べたいものがあるときには自分から検索することもあり、三つの時間帯の中では、最も自分で情報を選んでいるという感覚が強い時間でした。一方で、夜も自分から情報を探すだけでなく、偶然目にした情報に興味を持つことがありました。例えば、Googleニュースに表示された記事や、TikTokのおすすめ欄、Instagramのタイムラインなど、アルゴリズムによって表示された情報をきっかけに興味を持つことがあります。自分で選んでいると思っていた興味や関心も、SNSによって少しずつ作られているのかもしれないと感じました。
能動的だと思っていた情報行動は、本当に能動的なのか
「朝・昼・晩」の記録を振り返る中で、特に印象に残ったのは、自分では意識していなかった受動的な情報行動が思っていた以上に多かったことです。検索する、動画を見る、SNSを開く、ニュースを読むといった行動は、一見すると自分の意思で行っているように見えます。しかし、そのきっかけをたどると、おすすめに出てきた、友人から聞いた、たまたま目に入った、なんとなくアプリを開いたといったことが多くあります。
つまり、情報行動は能動か受動かのどちらかに分けられるものではなく、受動的に情報を受け取ったことが、その後の能動的な行動につながっているのではないかと考えました。
こうした私たちの情報行動について考える中で、野田さんのお話で印象に残ったのが、「ドパガキ状態」という言葉でした。ドパガキとは、ドーパミンとガキ(子ども)を組み合わせた言葉で、SNSやショート動画などの刺激的な情報を次々と求め、短期的な快感や満足感を追い続ける状態を表す俗語です。
SNSを使っているとき、私たちは一つの情報だけをじっくり見ているわけではありません。動画を見ている途中で別の投稿が目に入り、そこからコメントを読み、気になったことを検索し、検索結果からまた別の情報を見るうちに、気づけば最初に見ていた情報とはまったく違うものを見ていることがあります。こうして情報が次々と入ってきて、次の情報へと移っていく状態は、私たちが行った朝・昼・晩の観察にも共通していました。
私たちの情報行動は、自分で情報を探しに行くというよりも、大量に流れてくる情報の中から、そのときどきで反応したものを拾っていく行動に近いのかもしれません。
中間プレゼン
Aチームでは、朝・昼・晩の自己観察を通して、私たちが情報に触れた際の感情と、その後の情報行動との関係について分析しました。分析の結果、情報に触れた際の感情がポジティブかネガティブかにかかわらず、自分との関係性や興味関心の強さが、その後の情報行動につながることが分かりました。特に、ネガティブな感情を「避けたいネガ」と「確かめたいネガ」の2種類に分類し、AI広告などは不快感から情報を避ける場合がある一方で、就職活動や将来に関する情報など、自分に関係の深い情報については、ネガティブな感情を抱いても、さらに調べたり確かめたりする行動につながることを明らかにしました。
また、「いいね」「保存」「スクショ」「フォロー」という4つの行動についても分析しました。その結果、「いいね」は既読感覚で気軽に行うことが多い一方、「保存」や「スクショ」「フォロー」は、後から見返したり、再び情報に触れたりすることを目的としており、次の情報行動につながりやすいことが分かりました。
さらに、実際に惹かれた広告の事例をもとに、Z世代が魅力を感じる広告の特徴を分析し、広告主・メディアの方々に向けて理想的な広告のあり方を提案しました。興味関心に合った内容や、流行を取り入れた自然な動画表現、適切な接触頻度などが重要であると考え、広告の見せ方や媒体、頻度によって、受け手の感情や情報行動が変化することを伝えました。
プレゼン後には、博報堂メディア環境研究所の野田さんから、貴重なフィードバックをいただきました。特に、「自然な広告」とは具体的にどのようなものなのか、また、どのようなAI広告に違和感や嫌悪感を抱くのか、さらに、ネガティブな感情を抱きながらも情報行動につながる就職活動の広告にはどのような特徴があるのか、といった点について、より深く分析する必要があると学びました。
また、見山先生からは、プレゼンの起承転結を意識し、研究から得られた意外な発見をプレゼンの後半で伝えることで、聞き手の興味を引きつけやすくなるというアドバイスをいただきました。
今回の中間報告を通して、研究で得られた発見を伝えるだけでなく、聞き手の視点に立ち、相手に伝わる形で表現することの重要性を学びました。Z世代である私たちにとっては当たり前の感覚でも、第三者に理解してもらうためには、具体的な事例を交えながら説明する必要があると実感しました。また、研究した順番に沿って説明するのではなく、聞き手の興味を引き出せる構成を考えることも大切だと感じました。
Bチームでは、Z世代が次の情報行動へ移る要因として、情報に対する感情のポジティブ・ネガティブよりも、情報自体への興味・関心の有無が重要なのではないかと考えました。そこで、日常的に目にするSNSの投稿や広告を取り上げ、情報を見たときの感情とその後の行動を4つのパターンに分類し、具体的な事例を交えながら分析しました。
例えば、服やコスメなどの新商品に関する情報は、「かわいい」「欲しい」といったポジティブな感情から、口コミや商品サイトを調べる行動につながることが分かりました。一方で、スポーツの情報や癒し系の動画などは、ポジティブな感情を抱いても、必ずしも次の情報行動につながるわけではありません。また、不審者情報や電車の遅延など、ネガティブな感情を抱く情報であっても、自分に関係があると感じる場合には、詳しい情報を確認する行動につながることに着目しました。
さらに、広告に対する印象についても分析しました。繰り返し表示される広告や、個人情報を過度に利用していると感じさせる広告には不快感や不信感を抱く一方、シンプルで分かりやすいデザインや、興味・関心に合った広告には好意的な印象を持つことが分かりました。こうした分析をもとに、Z世代に情報を届ける際に意識してほしいポイントを「Z世代のトリセツ」としてまとめ、情報の内容だけでなく、見せ方や表示のタイミングも重要であることをプレゼンさせていただきました。
プレゼン後には、野田さんから、対面コミュニティの中に入り込むような情報のあり方についてお話をいただきました。私たちは主に、個人が情報を見たときの感情や行動に着目していましたが、情報が友人との会話など日常の人間関係の中でどのように広がっていくのかという、新たな視点を得ることができました。
このフィードバックを通して、情報行動を個人の興味・関心だけで捉えるのではなく、周囲とのつながりも含めて考えることの重要性に気づきました。また、SNS上で情報を見てもらうことだけでなく、その情報が日常生活の中で話題となり、人から人へと広がっていく過程にも目を向ける必要があると感じました。
後編につづく