第3回 昭和女子大学近代文化研究所公開シンポジウムを以下の通り開催いたします。
参加のお申し込みもこのページからできます。
学内外、どなたでも参加いただけます。
開催日時:2023年8月5日(土) 13:30~16:00
会 場:昭和女子大学コスモスホール(8号館6階)または オンライン(Zoom)
内 容:「ヤマトタケル 敗者の形象」
報告1 大御葬歌―哀惜と畏怖― 烏谷知子(昭和女子大学教授)
『古事記』の倭建命(やまとたけるのみこと)の東征伝承には十四首の歌謡が配される。歌謡は平定を成し遂げ死に行く倭建の道行(みちゆき)と共に、一連の悲劇的な世界を構築する。四首の「大御葬歌」には、訃報を知り能煩野(のぼの)に駆けつけた后や御子たちが、御陵から八尋白智鳥(やひろしろちどり)に化して飛び去った命(みこと)の魂を難渋しながら追いかける道行が描かれる。命(みこと)への哀惜と、死者と生者との隔絶が浮かび上がる。
大御葬歌は大正元(1912)年九月十三日の明治天皇大喪の儀に合わせてメロディーがつけられ、大正・昭和天皇の大喪にも歌われた。『古事記』には即位することなく悲劇的な最期を遂げた倭建命に「大御葬歌」の起源が結びつけられ、この所伝は近代の天皇喪儀に誄歌(るいか)としてよみがえる。報告では歌詞の「なづむ」「行く」の語に注目し、『古事記』の描くヤマトタケル像と「大御葬歌」の関係について考えたい。
報告2 神への「言向け」 松田浩(フェリス女学院大学教授)
報告3 近代のヤマトタケル像 三浦佑之(千葉大学名誉教授)
近代において、ヤマトタケルというヒーローは、絵画、教科書、絵本、小説、舞台など、さまざまな媒体に登場し、国民国家の形成に一定の役割を果たしてきた。そして、そこで取りあげられるヤマトタケル像の多くは『日本書紀』の日本武尊をモデルにしており、『古事記』の倭建命ではなかった。そこに、正史『日本書紀』と稗史(はいし)『古事記』との性格の違いが象徴されているといえよう。今回の報告では、国定教科書に描かれたヤマトタケル像と『古事記』および『日本書紀』のヤマトタケル像との関係を確認しながら、近代国家が求めた理想的な英雄像をどのように作り上げていったかということを考えてみたい。
総括 国語教科書からみるヤマトタケル伝承 須永哲矢(昭和女子大学准教授)
我々がヤマトタケル伝承に触れる入り口、「教科書に載っていたヤマトタケル」という視点に立ち返り、そこから本シンポジウムの総括を試みる。現代の国語教科書に『古事記』が採録される場合、ヤマトタケル伝承を扱うのが一般的であり、その多くは「言向け」の箇所を含み、「大御葬歌」を掲載しているものも複数見られる。採録されるエピソードは悲劇の主人公としての側面が色濃く、それは近代国家が求めたヤマトタケル像とは異なったものになっているようである。上代語は学校教育の古典語知識ではカバーしきれない部分も多いため、教科書の注釈も必然的に多くなるが、そこでの解説内容、および上代語についていくつかの話題提供を行いつつ、シンポジウムを振り返る。
★『ブックレット近代文化研究叢書16『古事記』にみる敗者の形象』の刊行を契機とするシンポジウムです。
今なお日本人の心に根ざすヤマトタケルの魅力について、それが奈辺に位置するのか掘り下げます。
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