シンポジウム「近代以降の周辺諸国の対中国観」開催 [Symposium] Neighboring Countries’ Viewpoints toward China after the Western Impact

2022年11月5日、シンポジウム「近代以降の周辺諸国の対中国観」を開催しました。本研究所では本年より「中国をめぐる国際関係と対中国観の変遷」という研究プロジェクトに着手したところです。第1回のシンポジウムは、基調講演者として中国近代の政治外交史の泰斗である岡本隆司先生(京都府立大学教授)にご参加いただきました。今回は代表作の一つ、『中国の誕生―東アジアの近代外交と国家形成』(名古屋大学出版会、2016年)をベースに上記プロジェクトに沿った内容にてご講演頂きました。近代国家としての「中国」の形成は、それまで属国・藩部とされた周辺諸国諸地域との関係、そして日本・イギリス・フランス・ロシア等の列強諸国との関係を抜きにして成り立たないものでした。この点を外交史料の紹介と分析を通じて丹念にご解説頂きました。

基調講演を受けて、本学フフバートル教授がモンゴル近現代史の視座から、本シンポジウムを企画した牧野がベトナム近現代史の視座からコメントしました。それぞれ、かつて藩部・属国とされた側に立って対中国関係の変遷を概説した上で、岡本先生との間で事実関係の確認や国家形成の概念等に関して質疑応答が展開されました。参加者を交えたディスカッションでは、周辺諸国諸地域からみた近代「中国」の形成について、地図も引き合いに出しながら、岡本先生と識者との間で自由闊達で熱のこもった議論がかわされました。

当日は学生の参加も多く、中国という国を近代の対外関係史から理解しようとする本プロジェクトのテーマが、若い世代も十分惹きつけることが確認されました。今後の展開を期待したいものです。(牧野元紀)