アカデミック・サロンとは、当研究所の所員研究員および客員研究員による研究紹介と交流を目的にしています。
初回の今回は、中田士郎先生に「茶の文化と茶室」についてご紹介いただきました。
【内容】
20世紀は、産業革命後に人々がより強い力を求めて、「巨大化」「画一化」「大量消費」…に向かった時間であったと言える。
21世紀になり、世界は「差別化」「個」「回帰」「多様化」…などが求められるようになってきた。
民族・宗教・気候・風土・習慣…あげればキリがないが、様々な生活様式が存在するのが当たり前であって、「経済性」や「効率性」をもとめて「画一化」するには、当然多数の無理があるのだ。
日本人は本来、「儚いもの」「移ろい」「淡いもの」…などをし好している。これらは、力こそ強くないのだが、心に強く印象づく。心に強く印象づくモノ・コト・トキとは、けっして強大で大量なモノだけではないのだ。
利休の志向した「直心の交」、言うなれば亭主と客が直に心を通い合わせる「場」。これこそ不変であり、今必要とされているのでは…
現在、その「場」を「移動茶室」というカタチに変換し、様々な場所で茶を点てココロを通わせるコトを目指している。