今年こそ、ぜひ楽しいことの多い有意義な年にしたいものだと思います。
さて、本の世界の歴史をたどってみると――
600年前の1415年には『ベリー公のいとも美しい時祷書』がつくられました。
1515年にはトマス・モアの『ユートピア』が、1615年はセルバンテスの『ドン・キホーテ』がそれぞれ完成しています。
今から200年前の1815年は『蘭学事始』の原稿が完成した年にあたるそうです。オランダ語を日本に翻訳するのに、当時の人々がどれほど苦労したことかが感動的に書かれたこの本は、学問への姿勢の厳しさを教えてくれます。先人の努力あっての、今日の本の世界のありがたさをしみじみと感じる次第です。
そんなことを意識しながら、今年も一歩ずつ着実に歩んでいきたいものです。
副館長 中西 裕