【本の紹介】三省堂国語辞典のひみつ

「国語辞典」が面白い。

『三省堂国語辞典のひみつ―辞書を編む現場から』という本を読んで、その面白さに気付かされましたので、ご紹介したいと思います。

書 名 :三省堂国語辞典のひみつ―辞書を編む現場から(新潮文庫)
著 者 :飯間浩明
出版社 :新潮社
請求記号:080 / Shi /い129-1(3階開架室)

実際に、1つ例を挙げてみましょう。

「上には上がある」を国語辞典で引いてみますね。(ちなみに「上には上がいる」ということばは間違いです。)

まずは三省堂の『三省堂国語辞典』。
「それがいちばん上かと思うと、それよりもっとすぐれたものがある。」(見坊豪紀 [ほか] 編『三省堂国語辞典』第7版.三省堂. 2014.P.109)

わかりやすく、簡潔です。

次に大修館書店の『明鏡国語辞典』。
「程度が最も上だと思っても、世の中にはさらに程度の上のものがある。」(北原保雄編『明鏡国語辞典』第2版.大修館書店.2010.P.150)

言い方は三省堂よりちょっと固いですが、だいたい同じことを言っています。

さらに小学館の『日本国語大辞典』。
「ある状態や最高に優れていると思っても、さらにそれより上のものがあるという意。予想外に度を越していることに対する驚きの気持ちを表したり、また、うぬぼれてはいけない、欲望は適当にとどめるほうがよいなどの戒めの意でいったりする。上を見れば方図が無い。上には上。」(日本国語大辞典第二版編集委員会 小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第2巻』第2版.小学館.2001.P109)

三省堂、大修館書店に比べると詳しく語釈が書かれていますね。より具体的に使い方をイメージできるのではないでしょうか。

こうして並べてみると、本による違いがよくわかりますね。

著者は『三省堂国語辞典』(以下『三国』)の編纂者のひとりで、『三国』の特長を本書で紹介しているのですが、その中で「なるほど!」と思った点が2点あります。

① 「要するに何か」が分かる辞書。
→上記で引用した語釈をみればわかっていただけると思います。
② 現代の日本語をできるだけ載せる、「現代語重視」の辞書であること。
→『三国』(第7版)の「ダブリュー(W)」の項目では、ネット用語(「笑い」の意味)についても触れられており、ちょっとした話題になったそうです。

本書を読んで、『三省堂国語辞典』の特長や活用法を知り、さらに自分好みの「国語辞典」を探して活用してみては、いかがでしょうか!ちなみに国語辞典は図書館3階のR813.1の本棚にいろいろ並んでおります。(わたしは『旺文社国語辞典』が好きです。)

(Rio)