コレクション紹介1 バリの魔女、ランダ

光葉博物館では様々な資料を収蔵しています。
ベル、仮面、郷土玩具、漆関連資料、中国の硯、民具など。
特別展や企画展での展示以外に、大学の授業でも活用されています。

そのコレクションの中からおすすめの1品を紹介したいと思います。

 


ランダ(黒)

ランダ(白)

第1回目は仮面コレクションから「ランダの仮面」を紹介します。
インドネシア・バリの民族舞踊といえば、「バロンダンス」「ケチャダンス」「レゴンダンス」です。
バロンとケチャダンスはインド叙述詩や、バリ王朝史が盛り込まれた物語仕立ての歌劇です。宮中で王様たちが見て楽しんでいた踊りが基になっているものがレゴンダンスです。こちらは衣装が大変華やかで踊り自体の技術も高いのだそうです。

さて、肝心の魔女ランダはというと、バロンダンスに登場します。
11世紀ごろのジャワ島で栄えたクディリ王朝にまつわる「チャロナラン劇」が基になっています。魔力を持つ国王の未亡人チャロナランと、聖者ウンプー・バラダの戦いが描かれています。延々と続く善と悪の戦いが描かれています。
チャロナランはやがて「死や悪」を象徴する魔女ランダへ、バラダは「生や善」を象徴する聖獣バロンへと変化していきます。
バリ・ヒンドゥー教では、すべての物事が“生と死”・“善と悪”といった形でバランスよく共存することで、世界が成り立つと考えられています。
「バランスよく共存」することは、「バロンとランダの力が拮抗」していることなので、戦いの決着が付かないのです。

本資料のランダは黒い髪に4本の牙、大きく見開いた目は飛び出ており、長い舌が垂れ下がっています。
髪を含む全長は140㎝です。

私には老婆に見えますが、黒魔術を志す者には美少女に見えるそうです。
あなたはどのように見えますか?

ちなみに白いランダは、現在開催中の収蔵資料「世界の仮面」で展示しています。
9:00‐17:00、7月29日(金)まで。