泉鏡花という作家

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<受験生の方へ>

いままで、授業のなかで「泉鏡花」について触れる機会はあまりなかったのですが、
今年から新設の「日本文学入門B」というオムニバス(15回を5人で担当する授業)で、
私の永らく研究してきたこの作家について、三回にわたりお話しできたのは幸いでした。

最初の時間に、私が監修した鏡花の文学を紹介するビデオ[下の写真]を見てもらい、
二回目は「近代作家のみた泉鏡花」のテーマで、夏目漱石、志賀直哉、芥川龍之介、
中島敦、小林秀雄ら、明治・大正・昭和の作家が、鏡花の文学をどのように評価したのか、
解説しました。

三回目は、鏡花作品のうち、映画化されたものを紹介し、代表作「高野(こうや)聖(ひじり)」(1900年)
と「歌(うた)行燈(あんどん)」(1910年)の特質を述べました。
11月末の学寮研修では、希望の多かった映画作品のビデオ上映会をする予定です。
鏡花は生涯に三百編以上の小説を書いているので、三回だけではとても語りつくせない
のですが、その豊かな世界の入口だけでも皆さんに示すことができたのではないか、
と思います。

 

さらにもう一つ、宣伝をします。
鏡花の生れた石川県金沢市には、その生家跡に「泉鏡花記念館」があり、ゆかりの資料を
展示していますが、5月27日~9月11日までの会期で「KYOKA MANIA」(鏡花マニア)
と題し、鏡花文学の愛読者についての展覧会が開かれています。[下の写真:左が鏡花です]
私はこの期間中、8月7日(日)の13時30分から、「水上瀧太郎と鏡花」と題して、
鏡花文学の最も知られた愛読者・後援者の水上と鏡花の関係について、講演をします。
水上は「(泉)先生の作品によって、自分は此の世に生れて来た甲斐のある事を痛感した」
と言っていますが、この思いは、私もまったく同じです。
北陸新幹線が開通したとはいえ、金沢は遠く、また八月は暑くて大変ですけれど、
もしよかったら聴きにいらしてください(ただし、電話予約が必要、入館料300円が要ります)。

 

 

 

(吉田 昌志)