<日文便り>
本学教授・吉田昌志先生が御著書『泉鏡花素描』で、
「樋口一葉記念第二十五回やまなし文学賞(研究・評論部門)」
を受賞されました。
やまなし文学賞は、山梨県と深いゆかりを持つ樋口一葉の生誕百二十年を記念して、平成四年四月に制定されたものです。吉田先生の受賞コメントをご紹介致します。
○受賞コメント
「このたび、二十五回の節目となる機会に賞を賜りましたのは、思いもかけぬ慶びです。とりわけ本文学賞が「樋口一葉記念」と冠のあることに感慨を禁じえません。というのも、泉鏡花と同じく日清戦争後の文壇に一躍脚光を浴び、その高評の頂点で斃れた一葉は、以後鏡花が亡母に劣らぬ憧憬と追慕の情を捧げつづけた稀有の存在だったからです。(中略)
明治三十年代から「天才」の名をほしいままにして、怪奇・幻想の神秘的な妖美を現出し、熱烈な愛読者をもっていた鏡花の世界ですが、わたくしの探求したのは、自らを取りまく現実と厳しく真摯に対峙し、前代文芸の伝統や同時代の情況と深く相渉ることによって独自な世界を切り拓いていった一人の文学者の姿でした。鏡花の生きた時代を、再び彼とともに歩んでみることをこころざしたのが、この『泉鏡花素描』です。(後略)」
(「やまなし文学賞 研究・評論部門受賞作・受賞者」コメントより)
今回、吉田先生が受賞なさった御著書をご紹介致します。
★『泉鏡花素描』(平成二十八年七月二十五日・和泉書院)
Ⅰ 観念小説期の泉鏡花 ほか
Ⅱ 「歌行燈」覚書 ほか
Ⅲ 「由縁の女」成立をめぐって ほか
Ⅳ 鏡花のなかの一葉/泉鏡花と演劇 ほか
また、山梨日日新聞にも記事が掲載されています。
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(YD)