プロジェクト活動の成果が書籍に収録されました

〈日文便り〉
本学科のプロジェクト科目のひとつ、
「古典学習教材開発プロジェクト」の活動成果が書籍に収録されました。

『新しい古典・言語文化の授業―コーパスを活用した実践と研究―』
(朝倉書店)

この中では学生たちが活動し、教材データを採集した成果が紹介されています。

第2章では、「形態素解析結果を利用した『源氏物語』学習教材の開発法」
「『白雪姫』の単語帳―大学生による学習教材制作記―」の2節にわたって、
また第4章では「コーパスを利用した古典語彙集」という節で、
それぞれ学生たちの活動が紹介されています。「形態素解析」という
機械処理を用いて新しい総合教材を作ったり、英作文のように古典語で作文をして
教材を作成したり、といった成果は、これまでも秋桜祭などで発表してきましたが、
いよいよ書籍に収録されるまでになりました。

その内容をほんの少しだけ紹介するとともに、参加学生の声をお届けします。

■機械処理を用いて総合学習教材を作る
「形態素解析」という機械処理技術を利用することで、学習内容を網羅した
表形式の教材を作ることができます。「機械処理」というとなじみがなく、
難しそうに思うかもしれませんが、
これから教員を目指す多くの人に実践してほしい、そんな思いから、経験ゼロ、
パソコンはむしろ苦手、という学生が予備知識のない状態から教材作成に挑戦。
『枕草子』より定番の「雪のいと高う降りたるを」を下のような形にしてみる、
という実践を行いました。最初の部分だけ下に紹介しますが、
こんな感じの学習教材が、初心者でも1時間半ほどで作れることを立証、
慣れればもっと早く作れます。

 

★教材作成を検証した3年・塚田桃加さんの話
本に自分がやった成果が証として残ることになり、嬉しく思っています。
古文に苦手意識を持っている高校生は多いと思うため、古文なんて読めない
という概念を取り払い、古典は簡単に読めるということを教育の場で生徒に
教えていけるように努めていきたいと思います。

■古典学習上の重要単語を抽出する
高校の教科書をデータ化し、よく出てくる敬語を抽出する、という作業を
試した結果、古文に出てくる敬語の半分は「給ふ」、上位10語で敬語の
9割がカバーできることを立証しました。

★敬語抽出研究のチーフ・3年・橋本莉奈さんの話
編集に携わる中で、いかに分かりやすく親しみやすいものが作れるか、
ということを常に考えていました。高校生当時の自身の体験や、
今までに得た知識、先輩方のアドバイスをもとに改良を重ねましたが、
その経験からより良いものをつくっていくということの難しさと楽しさを
実感しました。また、自身の考えを形にし、発信するという貴重な体験も
できました。教材開発の可能性は広く、とても面白いものだと考えています。

■年度末に学会発表へ
プロジェクト活動の締めくくりとして、
3月9日には「通時コーパスシンポジウム2019」にて
活動成果を発表することが決まりました。
学内でも3月23日のオープンキャンパスに合わせ、
学科ブースにて学会発表の報告や、実際作成した教材の紹介などを
行う予定です。

〈SN〉