〈授業風景〉
3年生以上対象の授業「日本文学Ⅱ(近代A) 中・短編小説を読む」をご紹介いたします。
この授業は、毎回、中・短編小説を読解し、その描写の意味などの分析を通じて
その時代の価値観や、現在読解する意義を考察していくものです。
もともと講義形式のものではありますが、なるべく受講者の間で
作品について話し合う機会を設けたいと常々考えていたので、
授業の序盤にグループでその当該作品について論じ、
その上で、どのような意見が出たかを発表してもらっています。
普段のゼミの発表とは異なり、非常に短い時間で集中的に議論をする緊張感、
また、そこで生まれる、それぞれのグループごとに異なる読み取りや疑問点や着眼点。
こちらとしても大変刺激を受ける機会となっており、色々と触発されます。
具体的に内容を述べれば、前期はこれまで、
宮部みゆきや夏目漱石の短編を通して、(恐怖)の質について皆で考察をしました。
ある作品を読んだときに、「読者」(われわれ)が〈恐怖〉を感じたとしたら、
それはどのような要素によって喚起させられているのか。
そのようなことを、個人的な感覚や印象に基づくものとしてではなく、
作品の構造や描写を通して改めて分析しました。
引き続き、こうした機会を通して、議論を共有できる場にしていきたいと思います。
(YN)