授業風景「日本語教育Ⅱ(音声と音声指導)」

〈授業風景〉

今回は、日本語教育Ⅱ(音声と音声指導)についてご紹介します。

音声学や音韻論と聞いた時、どのようなことを学習するのか、
受講生も事前に授業の計画であるシラバスを読んできたとしても、
あまりイメージを持てないまま1回目の授業に参加しているように思います。
そこで、私は、1回目の授業では、この授業で取り上げる項目の例を
日常生活から取り上げて、受講生にこれから学ぶ内容のイメージを
持ってもらうようにしています。
そして、授業の最後に「これまで音声に関して印象に残っていること」について、
自由記述で受講生に思いつくことを書いてもらっています。

受講生からは、外国語の聞き取りや発音で苦労したことに関する内容よく指摘されます。
例えば、「イタリア語で巻き舌ができなかった」、
「韓国語は/ウ/と/オ/が二種類ずつあるが区別できなかった」、
「中国語の声調が大変だった」といった内容です。
これらの学生の経験をふまえて、なぜできなかったのか、なぜ難しかったのかについて、
学生が納得できるように授業を進めるよう心がけています。

日本語母語話者の場合、外国語学習では聞き取りや発音で苦労することが多いかと思います。
逆に、その苦労がわかるだけに、そのメカニズムを学ぶことで、
日本語学習者の苦労にも理解が及ぶのではないかと思います。
世界の日本語学習者は、日本語の音声に関して何を難しいと認識すると思いますか?

なお、今年は1回目の授業で、「令和」についても、音声だけでなく
広く日本語教育からみたポイントを取り上げてみました。
このように、私はどの授業でも、できるだけ日常生活の多様な現象を
日本語教育の視点からみて取り上げたいと考えています。
今回ご紹介したこの授業では、日本語教育の中でも「音声と音声指導」という視点から、
受講生と一緒に日常生活の現象を考えていきたいと考えています。

(OB)