<日文便り>
オンラインで何でも手軽に買えるようになった昨今、
本屋に行く回数もめっきり減ってしまいました。
ある日商店街を散歩していると、ふと本屋の外に並べてある雑誌が目に入りました。
『&Premium』2021年4月号(マガジンハウス)の表紙に「心が動く、言葉の力」と書かれていたのです。
気付いたら雑誌だけでなく、コスパが悪いからと普段は躊躇しているカフェのコーヒーを片手に歩いていました。
さながらパリの街をバゲットを紙袋から覗かせて歩くような気分で帰路につき、
早速読んでみると様々な人が紡ぐことば達に圧倒されました。
私たちは皆平等にことばを話す、書くスキルを与えられているはずなのに、人によってこうも発信することが違うのか、と改めて人間という存在の面白みを感じます。
中でも興味深かったのが、韓国カルチャー(小説・詩・歌詞・台詞)のページです。
日本では音楽やドラマは昔から人気でしたが、ここ最近は小説、雑貨、デザインも独自の地位が確立されてきたように感じ、これからの動向が楽しみです。
この雑誌に触発され、勝手ながら皆さんに私の心に残ったことばをいくつか紹介させてください。
〇『十二国記 月の影 影の海』(日本🗾小説)小野不由美(著者)
「裏切られてもいいんだ。裏切った相手が卑怯になるだけで、わたしのなにが傷つくわけでもない。裏切って卑怯者になるよりずっといい。」
裏切られる事を恐れて人を信用できなかった主人公の陽子が、物語の終盤で成長した姿を見せた瞬間でした。人に期待して勝手に失望したり怒ってしまった時に、いつもこの言葉を思い出します。十二国記は名言のオンパレードですので、是非手に取ってみてください。
〇『100万円と苦虫女』(日本🗾映画)タナダユキ(脚本)
「いや、むしろ探したくないんです。どうやったって、自分の行動で自分は生きていかなきゃいけないですから。探さなくたって、嫌でもここにいますから」
100万円貯まるごとに色々な場所を転々としている主人公鈴子に対し、同僚が自分探しですか?
と聞いた時の返答です。当時自分探しに憧れていた中二病の私の脳天に一撃をくらわせました。
〇『Q10』(日本🗾ドラマ)木皿泉(脚本)
「本当に怖いのは、不幸そのものではありません。一番怖いのは、不幸になった時、考えるのをやめてしまうことです。つまり、一番の敵は自分の中にあるのです。」
先生が授業中に話していた事です。先生はこの後、「死ぬほど考えること、これが後悔しないたった一つのやり方です。」と続けます。
選択に迷った時、そこにどちらが正しいかなどはなく、自分の弱さと向き合い、考え続ける事が唯一の解決法だと言い聞かせてます。
〇『ミセン』(韓国ドラマ)チョン・ユンジョン(脚本)ユン・テホ(原作)
「俺たちはまだミセン(未生)だ」
ミセンとは囲碁用語で、弱い石を指します。
主人公はプロの囲碁棋士になる夢を諦め、26歳にして一般企業でインターンとして働きはじめます。畑違いの環境で、様々な苦難にもひたむきに乗り越えていく主人公のグレに、上司のオ課長がかけてくれた言葉です。少し話はオーバーな面もありますが、働くとはどういうことか、改めて教えてもらえるドラマです。
〇『きっとうまくいく』(インド映画)
ラージクマール・ヒラーニ、 ヴィドゥ・ヴィノード・チョープラー、ジット・ジョーシ(脚本)
「All izz well(all is well)」
生きていく上で困難にぶちあたったら、まずこの映画を見てください。
主人公のランチョーが大切な事を教えてくれます。
見終わった後、思わず胸に手を当てて、この言葉を唱えたくなるはずです!
皆さんの心に残っていることばは何ですか?
是非周りにいる方と語り合ってみてください。
(CC)