<授業風景>
中古文学ゼミでは、約1000年の時を越えて読み継がれてきた『源氏物語』を読んでいます。3年生の中には、『源氏物語』に詳しい人もいればそうでない人もいますが、和気合々と楽しく活動しています。後期は、前期に取り組んだ紅葉賀巻に引き続き、花宴巻について読み込み、考察し、皆思ったことや感じたこと、疑問に思ったことなどを討論しています。また、青表紙本や河内本、別本などといった写本と字句の異同や、語句の注釈を調べることで、気づくことや新しい発見もあります。
紅葉賀巻では、光源氏と藤壺との不義の子(後の冷泉帝)の出産や、紫の上の微笑ましい成長、光源氏と葵の上の仲違い、源典侍との一悶着が展開されていました。その続きである花宴巻では、桜の花の宴から始まり、その宴の後に内裏を徘徊していた光源氏が、そこで出会う朧月夜との物語を中心に話が進みます。後期の第三回目の授業では、光源氏と朧月夜が初めて出会った場面を取り扱った発表でした。やはり『源氏物語』は、描写が美しく書き方が巧妙だと感じる場面でした。朧月夜という名前は、実はニックネームのようなもので、実際の呼称は「六の君」などでした。また、彼女に対して抱く印象が8人のゼミ生の中でも多種多様で、討論が盛り上がりました。また、第四回目の授業では、発表範囲で朧月夜が詠んだ歌に登場する、「草の原」という言葉が死の意味を持つようになった背景や、物語における扇の役割についての考察を展開しました。後期になって、ゼミ生の着眼点や考察のレベルが一段階上がったと感じます。
このように、深くまで『源氏物語』のことを考え、作品への知識を深めることができるのが、中古文学ゼミの良さだと言えるでしょう。
(鵜飼祐江)