〈日文便り〉
今回の記事は何でもよいとのこと。「何を書いてもよい」と言われると、何を書けばよいのか分からなくなるから、人間って不思議です。
というわけで、本日はモンゴルのお話を。
今年の夏、人生初のモンゴルに行ってきました。
モンゴル地域での植林活動に長年携わっている中学・高校の大先輩(20歳くらい上)から「一緒に行かない?」とお声がけいただき、「こんな面白そうなこと、ぜひ行かねばなるまい(≒日本より涼しいだろうし)」と、のこのこ参加した次第。
成田発・ウランバートル着の直行便(約5時間)でモンゴルに到着。空港を出た瞬間からモンゴル=大草原というイメージそのままの大自然を満喫しつつ、首都ウランバートルに入れば、その近代都市ぶりに目を見張りました。一方、ウランバートルから車で1時間も離れれば、60年ぶりと言われる大洪水の爪痕も痛々しく、地球温暖化の影響がここまで来たかと痛感。モンゴル大統領オフナー・フレルスフの推進する「10億本植林計画」に沿って、いそいそと肉体労働に励むのでした。
これぞ、モンゴル!という風景
植林は重労働である
さて、ここからが本題。ウランバートルは冬になると地面が凍ってしまい、地中にガス管などを埋める工事ができなくなります。そこで、夏の間に集中工事をするのですが、工事期間中はガスが使えず、ホテルでもお湯が出なくなります。
もうお分かりでしょう。
私たちがモンゴルに行ったのは、まさにお湯が使えない期間だったのです。
夏のモンゴルで、まさかの風呂なし生活。お風呂やシャワーは一切入れません。身体は濡らしたタオルで拭けばどうにかなりますが、髪の毛だけはどうにもなりません。とは言え、そこは日本人。頭で分かってはいても、日に日に「洗髪したい・・・!」という欲求が高まります。でも、水道から出てくるのは、確実に風邪を引くであろう冷水のみ…万事休す…
あてどなく洗面所に佇み、洗面台を眺めていると… 突如、脳裏にひらめいたのが江戸時代の浮世絵。桶に水を溜めて、女性が髪の毛を洗っているアレです。
「洗面台にケトルで湧かしたお湯を溜めれば、髪が洗えるのでは?」
実際やってみると・・・洗えます!シャワーほどではありませんが、ちゃんと洗えます!(床はびちゃびちゃになるけど)江戸文化の知識のおかげでQOLが爆上がり。この江戸時代式洗髪法により、他の参加者たちも無事に髪の毛を洗えるようになり、人々のストレス軽減に大いに役立ったのでした。
(豊国国久「今川はし」丸久、安政5年、国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/1311405 (参照日時 2024-10-28))
「色々なことを知っておけば、いざという時に使える」なんて言いますが、今回の一件で「たしかにそうだなぁ」としみじみ実感しました。すぐに役立つ学び、営利事業で求められる学び、愉しみとしての学び、何となくの学びなど、学びの性質や内容は様々ですが、どこかで何かしらの形で、学びは活きてくるものなのだと思います。
日文生のみなさんも、受験生のみなさんも、いろいろなことを学んで(学び続けて)くださいね。私もみなさん同様に、学び続けたいと思います。
(荻原大地)