公開講座事前インタビュー「「好き」を表現する 藤子不二雄(藤子・F・不二雄/藤子不二雄Ⓐ)と戦後日本のファン文化」

〈日文便り〉

11月1日(土)、本学コスモスホールにて
公開講座「「好き」を表現する 藤子不二雄(藤子・F・不二雄/藤子不二雄Ⓐ)と戦後日本のファン文化」を開催します。

近年、「推し」といった語などに象徴されるように、好きなものを愛で応援し、自己表現をしていくことが当たり前のようになっています。 一方そこで、お金を使うこと、経済をまわすこと自体が一つの〈文化〉のようになっている状況を懸念する声もあります。
そうした中、今回の講座では「ドラえもん」「笑ゥせぇるすまん」など誰もが知る作品を多数生み出した藤子不二雄という国民的なマンガ家と、その愛読者のあり方を一つの例にすることで、戦後日本のファン文化のあり方を問い直してみたいと思います。 好きな対象について語り、表現し形にしていくことの面白さ、難しさ。またそれらの行為が、人生に何をもたらしていくのかということを、実例を通して考察していきます。
講座に先立ちまして、ご登壇の
マンガ研究家の稲垣高広氏と、日文准教授の山田夏樹先生にインタビューしました!
Q1.この講座をどのような人に聞いてもらいたいですか?
稲垣氏:
私の言葉に耳を傾けてくださる方であれば、どなたでもありがたい限りです。が、せっかく“大学”という場で話をさせていただくのですから、10代〜20代の、私よりはるかにお若い皆様に何かしらお届けできたらと僭越ながら思っております。

山田先生:
今回のテーマ(「好き」を表現する)はどの世代にも関わることですし、藤子・F・不二雄、藤子不二雄Ⓐも国民的な作家ですので、誰というのではなく、あらゆる方と一緒に考えられればと思います。


Q2.稲垣氏にお聞きします!
マンガ文化研究家の活動では、どのようなことをされていますか?
 

稲垣氏:
藤子作品を中心にマンガに関して個人的に興味を抱いたピンポイント領域を探究しています。マンガ作品そのものだけでなく、マンガを取り巻く諸々の事象も関心の対象です。たとえば、マンガ作品と影響関係のある文学作品だとか、ファン活動する自己と他者の内面といった事象に興味を誘われます。これまで書籍・雑誌での執筆、テレビ出演、公共施設での講演などの機会をいただきました。現在は、學童舎の研究誌「漫画少年少女」に毎号寄稿しています。
Q2.山田先生にお聞きします!
普段の講義はどのようなことをされていますか?
山田先生:
日本の小説の文学史や読解(例えば太宰治、三島由紀夫、大江健三郎など)がメインです。卒論指導、メディア論、サブカルチャー論などでは、マンガを通した現在のキャラクター文化について考察することもあります。そこで隙あらば藤子不二雄に言及します。

Q3.
藤子不二雄(藤子・F・不二雄/藤子不二雄)のファンになったきっかけを教えてください。

稲垣氏:
幼いころ「よいこ」「幼稚園」「小学一年生」といった小学館の学習雑誌でなんとはなしに藤子作品に親しんでいたことが、藤子ファンである私の精神的土壌となっています。小学3年生のとき創刊間もない「コロコロコミック」と出会ってから、5年生になってテレビ朝日版アニメ『ドラえもん』の放送がスタートするに至るまでの盛り上がりの中で、『ドラえもん』への熱狂が高まっていきました。それと同じころ単行本で読んだ『魔太郎がくる!!』にも大いに心誘われました。
山田先生:
未就学児の頃からです。当時、帯番組含め「ドラえもん」「パーマン」「忍者ハットリくん」「怪物くん」など、大げさではなく毎日のように藤子アニメが放映されていましたし、姉がいるおかげで藤子マンガも家にあり、自然に「好き」になっていました。
特に「ドラえもん」を親しんでいましたが、小学2年生の時に読んだ「まんが道」で「好き」が決定的なものになり、今に至ります。


Q4.受験生・高校生にメッセージをお願いします。

稲垣氏:
「これだ!」といえるくらい好きなものや興味を寄せるものがある方は、それだけでとても幸いです。高校時代の私は、精神的につらい学校生活を送っていて、将来への希望をほぼ持てませんでした。そういう日々を強く支えてくれたのが「好きなもの=藤子不二雄」だったのです。知的なことに関心のなかった私が、本を読んだり勉強せねばと少しは思うようになったのも藤子ファン活動のおかげです。まだこれといって「好きなもの」がない方は、これからそれを見つける楽しみが残されているので、実にうらやましいです。
山田先生:
対象は何でも良いと思いますが(それこそ受験勉強でも)、何かをとことん追求する経験は、他のことにもきっと活きます。
広く浅く、狭く深く、などと言いますが、深さは結局広さにつながりますので。
藤子不二雄(藤子・F・不二雄/藤子不二雄Ⓐ)ファンの方はもちろんのこと、
「推し」がいる方や、なにか「好きなもの」がある方におすすめです😊
公開講座は高校生の方も大歓迎です。
日文が気になっている方、オープンキャンパスで日文に興味を持ってくださった方々もぜひご参加ください!
心よりお待ちしております。
(日本語日本文学科)