■学長会議に参加して
先日、私立大学連盟の会議で、慶應義塾大学の中室牧子教授の講演を聴きました。主旨は、日本では教育政策を経験や特定の事例から論じることが多いが、科学的な根拠に基づいて考えるべきであるということです。講演では、科学的根拠すなわち、社会実験等による客観的データの比較に基づいて、教育効果の測定や検証が行われた例が説明されていました。そのなかで、
・埼玉県学力学習状況調査から、コロナ禍での小学校の休校の影響により、低学年で国語より算数で学力が低下した可能性が指摘された
・米国の公立小中学校の臨時休校はコロナ感染の抑止に効果はなかった
・大学でオンライン授業のみ、対面授業のみ、オンライン+対面のハイブリッド授業の3種を比較実験した結果、オンライン授業のみは対面のみの場合より期末試験で4~5ポイント低く、ハイブリッド授業と対面では差はない
・オンライン教育はもともと成績の悪い学生に負の影響がある。(厳密な比較実験では、対面授業とオンライン授業の教育効果の差は全体的には決して大きくない結果が出ているとのこと)
・成績不振の学生集団の一部に「目標設定を行うオンライン演習(目標を列挙し、目標達成に生じうる課題を解決するための具体的な戦略も考えさせる)」を予め受けさせてからオンライン授業を実施し、この演習を受けずにオンライン授業を受けた同集団の学生と比較すると、前者の学生のGPAが大幅に高かったという実験結果が示された、などの多くの興味ある研究報告が引用されていました。
さて、本学においては、今年度は全教員がオンライン授業のメリット、デメリットを実感した年でしたが、次年度からは、オンラインを活用しつつ対面授業も効果的に展開できるような状況になっていることを願っています。どのような状況でも本学の教育をストップさせないように、構内のネット環境の強化やオンライン授業に関わる設備の充実について段階的にではありますが、可能な限りの改善が進められようとしています。コロナ禍でも、昭和女子大学は前進あるのみです。
↑ 学園本部館の梅の木
既にたくさんのつぼみを膨らませています。春は近いです。