■女性教養講座から報告
昭和女子大学の「女性教養講座」では、本学独自のプログラムとして、学問の分野にこだわらず、広い領域で活躍している著名人をお招きし、「女性の心を育む」ことを目的とした講演を実施しています。6月16日(水)の女性教養講座では、東大作上智大学教授が「世界平和研究における日本の役割、若者への期待」というタイトルで、オンラインで講演されました。私は、東先生の世界平和に貢献するための日本の役割についてのご意見に共感し、是非学生には世界的課題にも関心を持ってもらいたく、講演をお願いしました。
世界中で起こっている紛争の多くは内戦であり、2014~2016年には3年連続して10万人を超える犠牲者が、そして2019年には7000万人を超える難民が発生しているとのことです *¹。東先生は、そのような世界中で起こっている紛争を和平に導き、平和を構築するプロセスで、日本はグローバルファシリテータとしての役割を果たせるというご意見を持ち、アフガニスタンや南スーダン、イランなどでの紛争の和平プロセスを例にあげて説明されていました。話の随所に若者へのメッセージが盛り込まれており、大変明解で示唆に富む講演でした。当初、私はこの講演はテーマが大きく深刻であるため、学生は関心を示さないではないかと少々不安でしたが、それは杞憂でした。今回の講演はコロナ禍のため、オンライン開催となりましたが、事前に質問者として応募してくれた3人の1年生以外にも大変多くの質問がチャットに書き込まれ、予定時間を大幅に超えても質問に答えきれないほどでした。質問がしやすいこともオンライン講演のメリットであると実感しました。また、何よりも多くの学生が世界平和に関心をもち、自分に何ができるのかを考えていることがわかり、私はとても嬉しく思いました。
東先生の講演を受け学生から「将来世界平和に貢献するためには、今はしっかり学び、実力をつけることが重要である」との意見がありました。私も同感です。学生のみなさんには大きな夢を抱いて、しっかり勉強していただきたいと思います。
本学の創立者人見圓吉は、第一次世界大戦後の荒廃した日本でこれからの平和で新しい文化を担うことができる思慮ある力強い女性の育成を目指しました。創立101年が経った今も建学の精神を引き継ぐこの昭和女子大学から、次世代を担い、世界的課題の解決にも貢献できる力強い女性が多く輩出されることを願います。
*¹ 東大作著「内戦と和平 現代戦争をどう終わらせるか」(中央公論新社、2020年)
東大作先生の著書と望秀海浜学寮で制作されたブーケ