君たち文系はどう生きるか(著者)荒巻健二

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君たち文系はどう生きるか
東大で「鬼」と呼ばれた教授が伝える人生に活きる授業と成長へのヒント

1990年代後半に、役所(大蔵省)から出向した大学の講義室を満たす私語に衝撃を受け、「文系学部での学習は学生の人生にとって意味はないのか」との疑問を抱いた著者は、これを原点に、その後東京大学、京都大学、ロンドン大学など内外の6つの大学で、「鬼」と呼ばれながらも一貫して学生の人生に活きる授業を求めて情熱を注いできた。本書では、その経験をもとに、文系学部での教育のあり方とそこでいかに学び成長すべきか、とりわけ「自分の頭で考える力」の強化に向け若い文系生に対し実践的なアドバイスを提供。巻末近くの「成長へのヒント15か条」やコラム「人を成長させるもの」は若者必読の金言。
思わず膝を叩いて笑ってしまうような大学でのエピソードや、大学での成績が一生ついて回る英国の学生事情、東大に見た探求心に火のついた学生が見せるエネルギーなど著者が内外の教育現場で蓄積した稀有の知見に加え、「成長しなければ生き残れない」厳しい職場であった旧大蔵省やIMFでの勤務経験、ボトムの学生として悪戦苦闘したオックスフォード大学留学経験から得た教えが惜しげもなく披露される。更には三島由紀夫が大蔵省勤務時に残した言葉や、王貞治元巨人軍選手、野球のイチロー選手、オシム元サッカー日本代表監督など特にスポーツの分野で道を究めた人たちが発した言葉に秘められた成長への貴重なメッセージが隅々に盛り込まれ、読み物としても秀逸。

初版2024年2月7日
四六判/248ページ
ISBNコード:978-4-7862-1802-6
C0037
定価:2,200円(本体2,000円+税10%)
発行所:昭和女子大学出版会

【荒巻健二 】
昭和女子大学客員教授、東京大学名誉教授、経済学博士
大蔵省入省(76年)、オックスフォード大学留学(78~80年)、IMF(87~89年)、国際金融局・主税局勤務等の後、京都大学(00~02年) 、東京大学(04~17年)、ロンドン大学(SOAS)(14~15年)、東京女子大学(17~22年)等を経て現職
主な著書に、『アジア通貨危機とIMF』1999年 日本経済評論社、『金融グローバル化のリスク』2018年 日本経済新聞出版、『日本経済長期低迷の構造』2019年 東京大学出版会、 “Japanʼs Long Stagnation, Deflation, and Abenomics” 2019 Palgrave/Macmillan

【目次 】
はじめに―文系で学ぶことは我々の人生に役に立つのだろうか  2
第1章 私語のショックと外の世界に触れることによる学生の成長  9
1.地方大学への赴任  10
2.私語のショック  14
3.教育熱心はバカかもの好き  19
4.現場、現実にさらす授業  24
5.外の世界に触れた学生の成長  33
6.大学教員生活の出発点で生まれた大きな問いと教育への関心  36
コラム 初の著書と出版社の嘆き  38
第2章 広く読み、多く執筆することがもたらす充実―社会人対象の文系大学院コース  41
1.嵐のような学期ー埼玉大学大学院経済科学研究科東京ステーションカレッジ  42
2.読んで読んで、書いて書いての特訓授業ー京都大学大学院法学研究科専修コース  46
3.埼玉大、京都大で得たもの  55
コラム 京都のユニークさ  56
第3章 「鬼」から「大鬼」への格下げとハートに火のついた学生たち  59
1.東京大学教養学部への赴任  60
2.「鬼」から「大鬼」に格下げ  60
3.「なぜこのクラスだけこんなにきついのか」― 支持率は5%  66
4.「成長しなければ生き残れない」―国際機関で必要となる能力と現在の大学教育の問題点  72
5.ハートに火のついた学生たち  86
6.最終講義  95
7.東大での手応えと反省  97
第4章 「1ペニーたりとも無駄にせず吸収したい」―ロンドン大で見た英国の学生たち  109
1.在外研究―東洋アフリカ研究学院(SOAS)経済学部  110
2.日本経済コースでの講義  113
3.大学の成績が人生を左右―英国人の大学教育に対する意識と日本との違い  118
4.SOASでの1年の総括  133
コラム 異国での生活立上げ「大学教員はホームレスか?」  134
第5章 良い授業とは何か―双方向の知的交流と実社会とのつながりを求める学生たち  147
1.東京女子大学への赴任  148
2.良い授業とは何か  149
3.オンライン授業の利点と弱点 154
4.日々の人生に活きる授業―公開講座から示唆されるもの  158
5.東京女子大での収穫  163
第6章 文系学生が身につけるべき力は何か  173
1.学生は大学の授業に何を求めているか―四半世紀の教員経験が示唆するもの  174
2.文系学生が身につけるべき力とは何か  178
3.文系大学教育のあり方―専門分野を土俵とした思考訓練に焦点を当てた教育  182
4.文系学部でどう学ぶべきか―自分の頭で考える力を育てよう(成長へのヒント15カ条)  189
コラム 人を成長させるもの  200
追想 直感的な疑問を大切に―業務報告から研究書の執筆まで  215
1.原稿依頼は断らない  215
2.欧米の手の平返しへの違和感―『アジア通貨危機とIMF』(1999)  219
3.研究的な論考執筆依頼の増加  220
4.英語での発信は世界を広げる  222
5.非正統的危機対応策の有効性―『金融グローバル化のリスク』(2018)  224
6.これは必然だったのか―”Japan’s Long Stagnation, Deflation, and Abenomics”(2018)、『日本経済長期低迷の構造』(2019) 228
(付表)日本経済長期低迷のメカニズム  234
おわりにー若い人たちに期待する  237